毎月1日は映画サービスデー。ふだん、窓口で提示しないと効かない割引を用いている私にとっては、月に2度しかない、ネットでのチケット購入が使える日です。現在、相変わらず色々汲々としているので、一時期より映画館に足を運ぶ余裕がなくなっていますが、だからこそ可能なときにはがっつり観ておきたい。一方で、今日あたりは久々に行きつけの蕎麦屋で昼食を摂りたい、という欲求も湧いてきたので、午前中に1本、帰宅して休憩したあとでもう1本、という変則スケジュールでの2本立てを決行してきました。
まずは自転車にてTOHOシネマズ西新井へ。鑑賞したのは本日封切り作品、飛行機の墜落事故で被害を最小限に留め英雄と称されたパイロットが、一転疑惑にまみれ懊悩する姿を描き、アカデミー賞の候補にもなった『フライト』(Paramount Japan配給)。本日封切り作品にもー1本、絶対押さえたい作品がありますが、そっちは本篇より長続きしそうなのでちょっと先送り。
予告篇から、てっきり法廷闘争がたっぷりと描かれるミステリ調のドラマなのかと思いきや、『失われた週末』の変奏曲みたいな内容でした。主人公であるパイロットがどうしてああいう立場に追い込まれたのかは明白で、彼がどうなっていくのか、どんな決断をするのか、という部分で牽引している。ちょっと中弛みしている感がありますし、あの結末がちょっとスッキリしない、と感じるひともいるように思いますが、実に噛み応えのある良品。確かに、脚本賞ノミネートは当然だと思う。
行きつけの蕎麦屋に赴き、帰宅して仮眠を取ってからふたたび外出。午前中は自転車を利用したものの、心が折れそうなくらいに強烈な風が吹き荒れていたのと、天気予報では日が暮れてから雨になる可能性が仄めかされていたので、今度は電車での移動です。
続いて訪れたのは日比谷のTOHOシネマズシャンテ、鑑賞したのは、心を病んだ男女の奇妙なロマンスを知的な笑いと涙とで彩り、アカデミー賞で作品賞や監督賞のほか、演技部門すべてで候補に残ったうえ、激戦と言われた主演女優賞を見事に勝ち取った『世界にひとつのプレイブック』(GAGA配給)。……実はこれ、西新井でもかかっていて、こんなまだるっこしい移動などしなくても鑑賞出来たんですが、蕎麦屋に行きたかったのと、天気予報も考慮してシャンテで観るほうを選んだのです。アカデミー賞発表後初の金曜日の非常にいい時間帯ということもあってか、結構なひとの入りでした。
当然ながら、こちらも名品。躁鬱病の人物ならではのエキセントリックな言動がコメディ調ながら、決してお座なりではない理解が生み出す奥行きが、真摯なロマンスと家族ドラマを生み出してます。確かにジェニファー・ローレンスは名演ですが、これまでどちらかというと男前の容貌を活かしたキャラクターが多い印象だったブラッドリー・クーパーも素晴らしい。本当に終始、笑いに彩られながらも、最後には爽やかな感動が待ち受ける。いわゆるラヴ・ロマンス映画が苦手、というひとでも、きっと本篇には唸らされるはず。大変良い作品でした。
鑑賞後、劇場を出てみると、天気予報が見事的中して、外はすっかり水浸し。意地を張って自転車での移動を強行しなくて正解でした。ただ、現在持ち歩いている折りたたみ傘のサイズでは、今日の降りは充分に防げなかったんですけどね。
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