2012年9月に上映された『ブルース・ブルザース』を皮切りに、不定期に行われていた、『午前十時の映画祭』とは異なるラインナップでデジタルリマスターを施された作品群を上映する企画『バック・トゥ・ザ・シアター』が、今年いっぱいはほぼ毎月1本のペースでかかることになりました。『午前十時の映画祭』に比べると最近の作品があり、さすがの私でも観ているものがあるので、そんなに積極的に拾っては来なかったのですが、折角恒例化してくれるならなるべくフォローして次に繋げる支えになりたい。あいにくと『ターミネーター』『スタンド・バイ・ミー』はタイミングを逃して観に行けなかったのですが、今月の作品は何とかスケジュールに組み込めたので、夕方から足を運びました。
今月からこれもメイン館をTOHOシネマズ日本橋に移しているんですが、日本橋での上映はレイトショー枠。出来れば早く戻りたかったため、少し早めの枠を取っているTOHOシネマズ西新井にて鑑賞することにしました。1本だけだと勿体ないので、フリーパスを用いて、先の時間にもう1本ハシゴです。
まずお目当ての前に鑑賞したのは、荒川弘による大ヒットコミックを『麦子さんと』の吉田恵輔監督、Sexy Zoneの中島健人主演で実写化した『銀の匙 Silver Spoon』(東宝配給)。
『麦子さんと』のクオリティが高かったのでちょっと期待してました。原作の雰囲気を活かしたキャスティング、ストーリーのキモを押さえた構成、と完成度は高い、んですが……惜しいのは、原作のコメディ感覚がかなり薄れていること。ゆるい笑いはちりばめられていて、そこには『麦子さんと』に通じるセンスが感じられて、作家性の発露でもあるんでしょうが、アニメ版ではこの原作の笑いも再現していただけに、どーにも物足りなく感じられてしまう。実は、2時間という尺の制約のなかではほぼ完璧な仕上がりなんですけど、時機が悪かったかも。笑いを抜きにしても、農場経営の難しさや喜び、展望はしっかり織りこんでいるので、良質の仕上がりなんですが。
お目当ての作品は、ちょっと間隔を開けて、同じスクリーンにて上映です。『バック・トゥ・ザ・シアター』都合7本目の作品、『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウ監督&トム・クルーズ主演の組み合わせで描く、独立したスポーツ・エージェントの奮闘を題材とした『ザ・エージェント』(Sony Pictures Entertainment配給)。
面白かったんですがなにか微妙、と感じるのは邦題のせいかも知れません。確かにエージェントが主人公ではあるんですが、スポーツそのものの描写がなく、売り込みや契約の話ばっかりなので、なにか違う、と思ってしまうのです。原題は“Jerry Maguire”ですから、そもそも彼の奮闘と再起までの道程を、関わった人々の姿と併せて描いている、と捉えれば頷けるんですが。しかし、そういう違和感を抱かせつつも、常にどこかボタンを掛け違えているかのような主人公の振る舞いを観ているのが愉しくて、2時間以上をほとんど飽きることなく観てしまったのですから、センスは高い。
さて帰るか、と思ったとき、劇場入口手前にこんなポスターが貼ってあるのに気づいた。
……ネットで眼にはしてましたが、劇場にも用意してあったんだこれ。
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