レンタルDVD鑑賞日記その436。

  • 『の・ようなもの』(Asmik)

 2011年に亡くなった森田芳光監督が1981年に発表した、メジャーでの初長篇作品。実は、本作にも演出助手として携わった杉山泰一が監督となって続篇を作っていて、諸般事情からそちらを鑑賞するつもりなので、予習として鑑賞した次第。

 しかし、率直に言えば色々と微妙な印象。映画関連サイトでは評価が高いんですが、コメディとして捉えてももちろん、文芸的作品として観てもピンと来ない。私はギリギリ本篇が製作された時代の空気が記憶に残ってるんですが、あの頃の風俗はしっかり採り上げているけど、それが今はどうも実感しづらい。あまりに素直に当時の“現代感覚”を組み込みすぎて、時代背景から考慮しないと意図が掴みにくいように思います。一方で、落語家として独り立ちする前の青年の話、と捉えても描写の掘り下げが甘いようだし。

 楽天的で軽快な雰囲気とか、さり気なく豪華なゲスト陣とか、昨今のコメディ作品にも通じる楽しさはあって、観ていて気分はいいんですけど、いまも必見の1本か、と問われると「そうかなー」という感覚。ただ、80年代の風俗を垣間見るにはとても優秀な資料になると思います。もはや消え失せた名称“トルコ風呂”とか、やたらと活気のある団地とか。

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