運転の練習風景に起きた奇妙な出来事を捉えた“バックカメラ”、特殊風俗の紹介映像の被写体となった女性を巡る怪異“交際クラブ”など8本のエピソードを収録。
何だかんだ言って、『ほん呪』スタッフが立ち上げに携わったり、一時期演出を担当した、というシリーズは比較的観られる水準を保ってます。このシリーズは、クレジットを見る限り、児玉和土氏は完全に離れた様子なのですが、しかし背景をしっかりと取材することで映像の不気味さを際立たせる手法は変わらずに徹底していて、充分に観られます。安易に映像を並べるだけのものと比べれば格段にハイレベル。
この巻も、「ちょっと明瞭に映りすぎでない?」という訝しさはあるものの、映像に関わった人々に取材することで、映像の外側にある怪異を引き出し、その異様さを強調する手管は巧み。特に、最後を飾る1本“面談”は、もし映像だけ提示した場合は「なんだこれ(笑)」という反応を引き起こしそうな展開なのですが、被写体そのものの言動の異常性に言及することで、観る者に不安をもたらす。こういうのが怪奇ドキュメンタリーの面白さだと思うんですが、わりあいこの辺を無視している作品が多くて私は哀しい。
『ほん呪』最盛期や、内容のユニークさにおいては本家を超えつつある『監死カメラ』のシリーズと比べるとまだ物足りないものの、未だ私にとっては比較的安心して楽しめるシリーズであります。
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