新宿武蔵野館と、しばしのお別れを。

 新宿界隈ではたぶんいちばんの老舗に近くなっている*1新宿武蔵野館の入っているビルが、耐震基準を満たす工事を10月まで行うことになり、新宿武蔵野館は改装が済むまで休館になるそうです。……そんなことを言いつつひっそりとフェイドアウトしていった劇場もあったので、ちょっとだけ警戒している私ですが、とりあえずはしばしのお別れをしてまいりました。

 ほんとーは『グリーン・インフェルノ』の再鑑賞をしたいところだったんですが、折悪しくと言うべきか、もっと優先したいものがかかっていた。『SAW』以来、脚本担当としてジェームズ・ワンとともにホラーを追求してきたリー・ワネルが遂に監督デビューを果たした、大ヒット・ホラーシリーズ最新作、あの霊能者エリーズが過去に遭遇した恐怖を描くインシディアス[序章]』(Sony Pictures Entertainment配給)。このコンビの作品は可能な限り追いかける、と決めているのですが、今回はどうも映像ソフト直行になるところを特別に期間限定で劇場でかけることになったようで、尚更に外せません。

 初監督作、しかもシリーズの1本となると仕上がりに不安を抱くところですが、少なくとも表現やムードの演出において、シリーズ旧作の観客に違和感をもたらすことはありません。だって、そもそもワン監督とリー・ワネルは一緒にデビューしたようなもので、たぶんホラーについての認識はだいたい共有しているんですから。第1作のような込み入った趣向がなく、その意味では物足りないですし、“ドーン”という脅かしのパターンが多めなのも少し気になるところですが、恐怖の表現はやっぱり巧い。クライマックス手前で監督自身が片割れを演じるゴースト・ハント・チームが登場することで、緊張感を程よく緩める技も駆使していて、オカルト・ホラーとしては安定の仕上がり。……普通に公開してもいいと思うんですけどね。

 というわけで、これで新宿武蔵野館とはしばしのお別れ……の、はず。未だに『グリーン・インフェルノ』再鑑賞に未練があるもんで、残り2日のあいだに無理矢理来ちゃうことがない、とは言い切れないのであった。まあさすがに無理だとは思うんですけど。

*1:記憶ではテアトル新宿と一二を争うぐらいになっているはず。

コメント

タイトルとURLをコピーしました