久々にカッコいいデル・トロでした。

 昨日の軽い更新のそのあと。

 一眠りしたあと、何はともあれ新宿に移動。“何はともあれ”と添えたのは、徹夜イベントに参加する前に何か映画を観る、というのはずっと決めていたのですが、肝心の作品がここに来てなお絞りキレていなかったのです。昼寝から目覚めても結論を出しかねていましたが、ぐずぐずしていると選択肢がなくなるので、もう最悪現地で決めよう、と考えたわけです。

 新宿入りすると、いくつか候補を考えていたうち、いちばん上映開始の早い作品のかかっている劇場傍まで歩いていった。そしてこのあたりでよーやく決心がついて、作品を決定。そのまま新宿ピカデリーに赴き、チケットを確保しました。

 鑑賞したのは、『灼熱の魂』で注目されて以来、急速に活躍の場を広げているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作、FBI捜査官が目撃した、メキシコとの国境にまたがる麻薬戦争の壮絶な闇をサスペンス充分に描いたボーダーライン』(KADOKAWA配給)

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品だから、というのはむろん、ベニチオ・デル・トロが出演していることでも私にとっては楽しみだった作品です。このスタッフ、キャストなら絶対に面白い、と確信してましたが、期待通りでした。ヘヴィな主題に緊張感のある語り口で惹きつける一方、あえて行動の意味を明示しないことで、物語に奥行きを加えている。題材は麻薬戦争ですが、しかしこの作品の面白さ、興味深さは、常識の通じない戦場で戦う人間たちの姿にこそあるように思います。それを特に象徴するベニチオ・デル・トロが素晴らしい。『チェ』2部作のあとは脇役でぴりっと存在感を発揮することが多く、もっとその役者としての色気を堪能したい私には少々物足りなかったのですが、本篇は終始気を吐いている。とりわけ終盤のサスペンス充分な展開で示す凄味は、『トラフィック』と『誘拐犯』を融合したようで強烈。『エスコバル』も良かったんですが、本篇の満足度は非常に高かった。

 鑑賞後は、歌舞伎町のど真ん中にある店で、あえて列に並んで夕食を摂り時間を潰しました。本日の本題である新耳袋トークライブ108については、次の項で。

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