今年3月リリースの、現時点でのシリーズ最新作。会社の付近に出没する、奇声を上げる女の様子を窺っていたときに異変が起きる“ちかよる”、振り返ると何かに取り憑かれる、という噂のトンネルを検証に訪れた若者たちが遭遇する怪異“ふりかえる”、そして行方不明の女性から届いた異様な動画を手がかりにその足取りを辿る前後篇“さらう”など全7篇収録。
相変わらず正統的な『ほん呪』フォロワーらしい作り。ドキュメンタリー部分のない映像の処理も説明がわざとらしすぎず、ほどよい不気味を演出してますし、前後篇に分かれたエピソードもなかなかの見応えがある。
ただまあ、中身の質、という点ではまだまだ精進が必要です。特に触れておきたいのはやっぱり長尺のエピソード“さらう”です。ドキュメンタリー部分に、通常の会話に見せかけて含める説明のぎこちなさとか、取材のプロセスに思慮が足りないことや、それを残してしまうあたりのセンスの悪さも気になります。
しかし今回、“さらう”のやたらと後味の悪い結末はインパクトが強かった。そもそも彼らのやり方がだいぶ安易で思慮に乏しい、という旧作から繋がっている欠点はそのまんまなんですが、その結果もたらされる余韻がなかなか怖い。そのあいだの説明や描写が色々抜けすぎて、「解釈に委ねる」という言い訳も立たないレベルなのは問題ですが、決して志は低くない。
相変わらず出来映えには首を傾げるものの、意欲は評価出来るので、もうじきリリースされる続巻も借りて鑑賞します。でももっと頑張ってね。
実は今回、月額レンタルで届いたもう1枚も怪奇ドキュメンタリーだったんですが、あまりの出来の悪さに、言及を控えます。タイトルを挙げた上で罵りまくりたくなるようなヒドい出来だったもんですから……。
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