カメを観に行ったはずが、カニ映画だった。

 今日はちゃんと封切りを観に行ってきました。またぞろ近づいている台風のために若干雲行きに不安はありましたが、今日いっぱいは保ちそうなので、自転車で出かけてきました。

 訪れたのはTOHOシネマズ日本橋。鑑賞したのは、『岸辺のふたり』などの優れた短篇で知られるアニメーション作家マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットによる初めての長篇作品であり、高畑勲らがサポートしたスタジオジブリ最新作でもあるレッドタートル ある島の物語』(東宝配給)

 あんまり予備知識を仕入れず、ほぼ解散状態とはいえいちおうジブリ名義だから、という程度で観に行ったんですが、これはいい作品でした。ただ、ジブリのイメージよりは、フランスのアート系アニメーションの匂いが色濃い。台詞を一切廃し、映像や音楽、言葉を含まない声で説明する物語は、それなりに注意力を必要とするために子供向けとは言いがたいですが、それ故にシンプルな映像、ストーリーでも趣深い。中盤の意外な展開から見えてくる、命の営みというものの喜びや苦しみ、切なさが沁みてきます。日本にも古くから存在する民話との共通項もあって、制作の主体は海外であったとは言い条、日本人にも親しみの湧く作品だと思います。

 しかし、中心は確かにカメなんですが、本篇を観ていて印象的なのは正直なところカメよりカニのほうです。人間的、というかそれこそジブリのコダマとかの系統に連なるキャラクター化している。カメよりあっちをグッズにすればいいのに。

 終映時間が早めなので、ハシゴをしようかとも思いましたが、色々考えて1本だけにしておきました。鑑賞後、ロビーに出てみると凄まじい混雑で、ハシゴしなくて良かった、と実感……やっぱり私みたいな奴は平日にこそこそ観るべきだな。

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