- 『ほんとうに映った!監死カメラ16』(AMGエンタテインメント)
『ほん呪』のスタイルを踏襲しつつも、気づけば独自の世界観を膨らませている異端の怪奇ドキュメンタリーシリーズ現時点での最新巻。性懲りもない廃墟マニアの冒険を捉えた『廃墟10』、遊び心で始めたことで、とんでもない災厄に見舞われた人物を追う『狐狗狸の罠』、『妖怪ビデオ』に登場した漫画家いましろたかしの新たな挑戦(?)『投稿ホラービデオ業界の仕事』など5篇を収録。
だんだん奇妙な登場人物が繰り返し登場するようになって、怖さよりも笑いを多く含有する面白さが全体を占めるようになったこのシリーズ。今回も大作は全般に笑いが止まりません。特に冒頭の『廃墟10』は、毎度お馴染みの廃墟マニア、事実上準レギュラーとなって10作目の記念に、といつもと違うことをした結果、ある意味で大豊作になっているのですが、それが笑えるという。出てくる奴も怖がらせるつもり皆無です。
大作『狐狗狸の罠』は展開は一部笑えるけどだんだん怖くなってきて、最終的には別の意味で怖くなる、という話。経緯が全体に珍妙なんですが、ここで改めて思うのは、このシリーズが関わったオカルト業界の人脈が非常に劣悪だ、ということ。初期から登場するKATOR氏……も胡散臭いといえば胡散臭いですが、他の人々の怪しさはその比ではない。このエピソードと『投稿ホラー〜』の2篇で、以前に登場したオカルト業界人がふたり姿を消しているのは、若干反省したからかも知れません。
映像や取材内容の胡散臭さもだんだん増しているのですが、しかしそれを許せてしまうパワーはいまのところ衰える気配がありません。出来たらもーちょっと恐怖を追って欲しいところですが、このまんまでも別に構わない。いいぞもっとやれ。
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