私が最初に意識して読んだミステリは、赤川次郎と島田荘司、そしてこの内田康夫の3氏でした。特に内田作品は、日本の様々な土地を訪れ、その旅情も盛り込んだことで、同じように旅をしている感覚が味わえるため、作品点数の多さもあって手当たり次第と読み漁っていた時期がありました。
のちに自分で書くようになると、プロットを組まずに即興で書き進めるスタイルゆえの緩さや、いくぶん硬直的な価値観に違和感を抱くようになり、近年は遠ざかってしまってましたが、間違いなくずっと好きな作家のひとりでしたし、病に倒れる間際まで執筆を続けていた創作意欲には敬意を抱いていました。
完結まで書き進めることが出来ず、解決篇を公募する、という形で次世代に託された『孤道』から新たに仕切り直されるはずだった浅見光彦シリーズが、ふたたび内田氏自身の手で書き継がれることがもうなくなってしまったのは残念ですが、たぶん氏の著作や浅見光彦という探偵は今後も愛されて残っていくと思います。
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