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先月リリースの『闇動画18』です。ストレス解消のために殴られることを生業とする男の記録“サンドバッグ屋”、結婚する友人に送るメッセージビデオを撮るはずが異様な出来事に遭遇する“取り憑く”、ロケハンとして廃墟を訪れた撮影隊を襲った怪事“死者の遊戯”の3篇を収録。
『ほん呪』フォロワーとしての作りをスピンオフである『心霊闇動画』シリーズに譲り、こちらはもはや実話を装うこともやめてショート・ホラームービーに徹する道を選んだか、と思ってたら、今回はまた一部ながらドキュメンタリースタイルに回帰しました。
しかしその結果、却ってやったら薄味に思える仕上がりになってしまった。“サンドバッグ屋”は怪奇現象こそ起きてませんがどー考えても展開があり得ない。あの状況で出会うこと自体も異様ですが、そもそもこの男はなんで映像で記録してるの。なんで結果がああなるの。描かれてることがいちいち不自然で、真実味が乏しい。
続く“取り憑く”は、内容的にはちょっと面白いんですが、ただこの尺で描くような話でもない。その尺を使いたいなら、投稿者がこの映像を撮る前に経験した出来事の裏を取って尺を埋めるべきでしょう。ドキュメンタリースタイルにしたエピソードであるだけに、その辺の詰めの甘さが気にかかる。
3本目はてっきり旧作の廃墟シリーズと関連するエピソードなのかと思いきや、性質的に異なっているので、どうやら別物のようです――もしかしたらあとで関連付けられるのかも知れませんが。しかしいずれにしても、描写があまりにも作り物っぽすぎる。別に、こんな異様な廃墟があってもいいんですが、せめてその事態に接したスタッフの言動についてはもうちょっと考慮して欲しい。いくら時間のない中で強行したロケハン、という設定があったとしても、こんな危険な場所で本番の撮影をしたがる人はいない。連れてくるタレントに危険が及びますし、そもそも完全に犯罪の舞台になっちゃってるんですから、普通の撮影隊なら早めに撤退します。
前巻くらいまでは少し質か向上しそうな雰囲気があったんですが、またちょっと雲行きが怪しくなってきました。どうなることやら。
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