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今回の作品は、今年5月リリースの『心霊闇動画26』です。会社の総務部に送られてきた作原の証拠映像に奇妙なものが映り込む“給湯室”、恋人と出かけた渓谷で撮影された謎の女“滝のほとりで”、探偵が女性を追っていた際の記録に異様なものが映った“素行調査”など6篇を収録。
巻数を重ねてきたシリーズはおおむね基本を外さないので、とりあえず観てはいられる……のですが、スタッフの神経が行き届いているか否かで、全体の印象はだいぶ変わってしまう。率直に言って、この巻はだいぶ微妙。
映像自体が有り体なのはまあいい。問題は、奇妙なものを撮した前後のリアクションがほとんど一緒だ、という点。カメラで撮影している際は、被写体に集中していたり、そもそも肉眼で見ているものとカメラが捉えるものが必ずしも一致しないため、何かあり得ないものが映っても気づかないことが多い。しかしこの巻、“給湯室”を除いて、ぜんぶ撮影者が気づいている。さすがにこれは不自然極まりない。これだけ巻数を重ねて、投稿映像がふんだんにあるんなら、その辺の展開が被らないように留意することも出来るはずですが、そうしてない時点で説得力が薄れる。
しかも、被写体などに異変が起きているパターンが多いのに、投稿者にしか話を聞いてない、というのも物足りない。当事者が無理であっても、もうちょっと周辺の人に話を聞いて掘り下げる程度の工夫はしないと、眉唾に思えます。ジャケットに「心霊現象、徹底検証。」なんてうやうやしく記しちゃってるんですから、その文句に相応しい程度の検証はしてくれないと。
安定感はありますが、どんどん低レベルになっているようにしか思えません……もっとヒドいのをたくさん観てきたので、とりあえず見限るつもりはないんですけど、お願いだからちゃんと考えて。
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