フリーパスの期限は明日。しかし、どー調べてもこの日に観に行くスケジュールは組めそうもない。それゆえ実質的な最終日の今日、全力で楽しむべく、お昼から夕方まで、3本立てにしてみることに。
鑑賞のまえに昼食を摂る必要がありますが、それよりも先に、無料鑑賞の枠が埋まる、という悲劇を避けるためにチケットの確保をしなければいけない。と言うわけで、とりあえずTOHOシネマズ新宿に駆けつけた。
1本目に観るつもりだった作品の枠が、もういっぱいになってました。
……その可能性は考えていないわけではなかった。でも平日だからいけるだろ、と軽く捉えてました。しかしまさか、お昼のこの半端な時間から引っかかるとは思ってなかった。
窓口のかたにご協力いただいて代案を出そうとするも、こんどはそっちを準備している間に代案の1本目の無料枠が埋まってる。そんなこんなでしばし格闘し、どーにか3本立ての代案が確定しました。結果的には、順番が反対になっただけで済みました。
ただ、この時間割は、昼食に割ける余裕がちょっと短い。取り急ぎ大つけ麺博に赴き、こんどもあまり列が長くなっていない店を選択。まあ、まだオープン直後だったので、選択肢は多い方でしたが。
食後、慌てて映画館に戻り、鑑賞した1本目は、モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンが主演したハリウッド映画を吉永小百合と天海祐希でリメイク、死を間近にした平凡な主婦と資産家の女性が、少女の“死ぬまでにやりたいことリスト”を実践していく『最高の人生の見つけ方(2019)』(Warner Bros.配給)。
……オリジナルより好きかも知れない。発想は一緒でも、取っ掛かりや願望が日本らしく、かつ大胆になってる。死を控えながらも自分の人生に価値を見いだしていくさまをユーモアと力強さで彩っていて悲壮感はない。とてもいい気持ちになれる1本です。何より、非常に映画らしい夢のあるショットがふんだんにちりばめられているのがいい。
次の映画までちょっとの空き時間を使い、パンフレットや飲食を購入して、こんどはさっきのスクリーンの向かい側へ……こんな位置関係なんだからまっすぐ移動させてくれてもいいようなもんですが、そうもいかない。
本日の2本目は、自分を除いて世界中の誰もがビートルズを知らない世界で、想定外の名声を手にするミュージシャンをユーモラスに、けれど実感的に描きだした『イエスタデイ』(東宝東和配給)。
発想そのものが魅力的なので、面白いのは想像通りだったんですが、問題は落とし方でした――正直、これは意外だった。いや、大筋では察しがついていたものの、その手前の成り行きにちょっと度胆を抜かれました。そして迂闊にも、ちょっと涙ぐんでしまった――まだ芽が完全に回復してないので、涙腺が緩めだったとは言い条。恐らく製作者はこれがやたかったのでしょう。想像以上にビートルズと、その楽曲へのリスペクトに満ちたファンタジー。実は、最近公開されたある作品と精神的には近いものがある、と思う。
さっきよりもちょっと長めの休みを挟んで、いよいよ本日のトリ、そしてたぶん今回のフリーパスのオーラスです。『万引き家族』で世界的にその存在を知らしめた是枝裕和監督がカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュというフランスの名女優を招いて撮った初の外国語映画、女優とその家族の葛藤と再生とを描いた『真実(2019・字幕)』(GAGA配給)。
『万引き家族』ほどの衝撃やカタルシスはありませんが、いかにも是枝監督らしい生々しさに富んだ演出が、名女優ふたりの醸しだすオーラと巧みに調和して、見事なくらい“フランス映画”になってます。漫然と観ていると「けっきょくどういうこと……?」と首を傾げることになるでしょうが、大女優と脚本家である娘、そしていまひとつ冴えない男たち、という特殊な家族構成だからこその虚実ない交ぜとなった語り口に、いつしか不思議な暖かみが宿っていく感覚が心地好い佳作。
……ただ、心地好すぎて、ふだん仮眠を取っている時間を飛ばして映画を観続けてる私にはちょっと眠かったのも事実。当初の予定ではこれを1本目にするつもりだったのですが、順番としてはそれが正解だったようです。まあどちらにしても、ぜんぶたっぷり楽しんだからいいんですけど。
これで今回のフリーパスにて鑑賞したのは12本。目標だった10本は超えたので上出来でしょう……と言いつつ、最終日である明日、もう1本くらい何とかならないか、と探ってるんですが……まあ無茶はしません。
コメント