『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』第十話 集う仲間たち

 学園祭復活嘆願書署名活動の期限まで残すところ僅か一日半。一部に協力者が出てはくれたものの、依然として提示された水準を超えるには程遠い。学美は、合併を控えて最新式への換装工事が行われる大時計をマッチポンプに利用して意識の喚起を図るが、利用された大時計の呪いか、発生した火事によって生徒会室が使用不能になるという災難に見舞われる……

 この学校、なんかやたらと無駄なものを残してるなー。普通、閉鎖された学園寮なんてさっさと解体してしまうでしょうに。でも、それを敢えて残しているのがフィクションのいいところ、青春もののいいところ。

 なんかちょっと予定調和すぎる展開のように映りますが、このシリーズの美点は、ちゃんと布石が用意されているところです。学美たちが再生した“生徒会室”という要素があったから、今回の出来事に結びついていく。確かにこういう過程を踏まえれば、逆転に結びつくのも頷ける。意図されたアピールではなく、自然発生的な出来事がそれを促しているのも良し。

 初期に比べると落ち着いた印象のある演出ですが、今回はアニメでは珍しい手法が随所に鏤められていたので、その辺の冒険心も健在であることを窺わせます。そもそも主題の要請もあって、同じ実験的という括りの出来る『ひだまりスケッチ』よりも作画枚数は嵩んでいるはずなのに、そうした野心が損なわれていないだけでも評価できる。

 とにかく無事に山を乗り越えた生徒会、恐らく次回は最終回に向けて、もうひとりの“関係者”に託していた伏線を回収するのでしょう。刮目して待ちます。

 にしてもこの作品、全体の構成や演出のみならず、実は細かな台詞のやり取りも優れている。今回、個人的にツボだったのは、過去の経験を語ろうとした途端に置き去りにされる下嶋先生の扱いでした。そうそう、そういう話は絶対に長くなるから。

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