『地獄少女 二籠』第十話 曽根アンナの濡れた休日

 骨女は新たに依頼を受けた復讐対象を目にして驚愕する。それは一年前、珍しく宛てもなく街をうろついていたときに偶然遭遇した、根来哲郎という映画監督であった。骨女を主演女優にスカウトし、曽根アンナの“芸名”を与えた男でもある。大言壮語ばかり先に立ち、まともな評価を受けられず、妻や愛人に寄生するようにして生き延びている、駄目だが妙に憎めない男であった。そんな彼が何故、地獄送りの対象にされたのか……?

 ……正直に言います。この回、むちゃくちゃ楽しみにしてました。この題名でゲスト千葉繁では期待するなというほうが無理だ。

 本筋よりも、むかしの駄洒落をほじくり返されて赤面している閻魔あい、という今まで見たことのないシチュエーションとか、三番目の女の将来を案じて説得に行ったのに全員言い負かされているあたりとかががツボに入って困りました。そこは笑ってやれよ。

 そして今回は正直、『地獄少女』という枠を抜きにして好きな話と認めざるを得ません。駄目男と知りつつ妙に馴染んでしまって、本来憎み合って然るべき、彼と関わった女たちが何故か仲良くなっている、という、この古い映画を彷彿とさせる流れが個人的には本当にツボです。

 ……ただ、それでもごく冷静に言って、地獄送りの筋書きはおかしすぎ。復讐なのに自分で監督させてどうすんだよ。復讐にならんじゃないか。そりゃ正直言って演出の仕方は楽しかったが。無声映画のノリの口上も素晴らしかったが。だがしかし、どう考えても許容できない問題があるのだ。

 依頼者はどうやって復讐対象である根来の名前を知った? そしていつ、どこで依頼をした? 回想から判断すると、根来の名前を知る時間も依頼する時間もなかったとしか思えない。……まあ、今回はそこも含めて、情けないユーモアを狙ったと判断してあげるとするか。繰り返すが個人的にはこの話、大好きです。褒めるべきじゃないと解っていても。

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