『ARIA The NATURAL』第26話 その 白いやさしい街から…

 雪に覆われたネオ・ヴェネツィア。ふと灯里はいまの自分が、昔憧れていた自分になれているのか、不安に思う。灯里がアリシアに、昔どんな大人になりたかったのか、と訊ねると、アリシアは何故かおもむろに雪玉を転がし始めるのだった……

 久々に呼吸の優れた会話が好感触です。最近はキャラクターの口癖をなぞっているだけの、あまりにも頭を使わない会話が多かったので、序盤における三人娘のやり取りのような場面があると、それだけで安心してしまう……もともとそんなに水準低いシリーズじゃなかったはずなのになー。

 話も、前シリーズのような幻想性はありませんが、『ARIA』の世界観ならではのさり気なくも暖かいエピソードを採りあげており、その膨らまし方が実に快い。そしてシリーズとしての締め括りの組み立ても前シリーズのような不自然さがなく、レギュラーキャラや印象的な人物をすべて鏤めつつ、綺麗に締めくくっている。 作画のクオリティは相変わらず微妙なのでどうも収まりの悪さを感じてしまいますが、前回に比べればもう格段にまし。

 ……しかし第二シリーズはオリジナル・エピソードがほとんどなかったのが残念。確かに前シリーズのようなかっちりと物語の世界観に馴染みながら統一感を演出しやすいアイディアを編み出すのは難しいでしょうけれど、努力ぐらいは見せて欲しかったなあ。作画もシナリオの質も全般に落ちており、完全に原作の世界観におんぶにだっこになってしまったのが今シリーズ最大の問題、という印象でした。

 今回の締め方は、ある意味停止していた“世界”を大きく揺り動かすものであり、このまま引き継げば原作から遠のいてしまうことが歴然なので、恐らく次のシリーズを考えずに作られたものでしょう。個人的には、全体に前シリーズと比べてあまりに見劣りする仕上がりにリベンジを仕掛けてほしい気はするのですが……まあ、無理だろうなあ。

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