3人娘唯一の両手袋ながら操船術に優れているアリスは、けれど案内や交流の点で劣り、その日ごとに強いた自分のルールに囚われる子供っぽさも色濃い。学校帰り、影だけ踏んで寮に戻るという“ルール”に拘って、失敗続きで少し落ちこんでいたアリスは、そんな彼女をはたから手助けしようとする先輩アテナに苛立ちを禁じ得ない……
プロローグだけで、「あ、今日のシナリオは大丈夫だ」と確信しました。その通りでした。ほぼ完璧。筋書きとしては単純なのですが、過剰に口癖を盛り込んで個性を表現するような愚は犯さず、行動でらしさを描いている。影のある場所を探してぴょんぴょん跳ねまわっているアリスの子供っぽい可愛さの描き方、そんな彼女を本当に本当に微笑ましげに見つめているアテナがまた同じくらい微笑ましく、いっそ感動的ですらありました。何でもない話だというのにすこし涙腺が緩みそうになってるのは何故っ?! このまったり感から滲んでくる暖かさこそ、『ARIA』の本領です。
脚本がいいと演出する方も燃えるのか、かなり良質の仕上がりでした。惜しむらくは中盤、アリスの作画が一部乱れていたことですが、オープニングやアテナと絡んでいる場面、デフォルメ版を四方八方から描くカット、そしてラストシーンと勘所は押さえている。時々クオリティを上げてくるとはいえ、前シリーズ初期と比較すると見劣りすることは否めない第二シリーズでしたが、今回は非常に良かった。前シリーズの前半に組み込んでも比肩しうる出来だと思います。
毎回こうだと安心して観られるんですけどねー……
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