『まんが日本昔ばなし』第二十三回

  • 鉢かつぎ姫

 病弱な母は、気だてのよい我が娘の将来を案じて、観音様に祈った。すると観音様は、娘の頭に鉢を被せなさい、と命じる。間もなく母は亡くなったが、娘は鉢を被りつづけた。やがて父の後妻となった女性は娘を気味悪がり、家来に命じて娘を遠くに捨てさせてしまう……

 ……観音様が何をしたかったのかがよく解らない。普通なら巡り逢うはずのなかった人々を結びつけたかっただけなのか? 幾らこのあとの幸せが保証されていたとしても、それまでの試練は母の願いと比べるとあんまりじゃねーかという気が。

 映像は相変わらず素晴らしい。目と眉と口しかないシンプルな絵に思いの外色気があり、平安期の絵画を再現したような背景とも実によく馴染んでおります。完全に一幅の絵として表現したラストシーンも秀逸。内容もさることながら、この番組は映像が芸術です。いつもとは違い、低く凄みのある声の演技も印象的な一話でした。

  • 蛙の子は蛙

 なかなか子供の出来ない蛙の夫婦。やっと授かった子宝は、しかし自分とは似ても似つかぬ姿であった。或いは雄々しく泳ぐナマズやコイのように育つのでは、と期待する夫婦であったが……

 微笑ましいというかお馬鹿というか。しかし、子供の変化につれて一喜一憂する姿は、必ずしも大袈裟とは言い切れません。最終的に親と似た子に育っても、それでいいのだ、と前向きに受け入れてしまうあたりは、お伽噺ならではの和やかさではありますが、現実でも見習うべきことでしょう。

 まるで天才バカボンに登場するおまわりさんのような目をした蛙が主人公でしたが、ナマズやコイは妙に写実的だったりと、作画の構成が一風変わっていて、それもまた面白い。

コメント

タイトルとURLをコピーしました