土曜日で新・午前十時の映画祭の上映作品が入れ替えになりました。2週間に戻ったので慌てる必要はない、とは言い条、何があるか解らないので、もう今日観に行くものと前々から決めておいて、購入可能な時間になるとすぐに押さえてしまいました。
今期の作品は、ジュリー・アンドリュース主演、伝説の児童小説をウォルト・ディズニーが当時としては異彩を放つアイディアを採り入れて実写化したミュージカル映画の名作『メリー・ポピンズ』(ブエナ・ビスタ初公開時配給)。
2年前にこの映画祭で初めて鑑賞したときは、どーしてもピンと来なかったのです。歌の魅力と映像のアイディアは秀逸だ、と思いつつも、ストーリーにはいまいち納得がいかなかった。しかし翌年、本篇の製作の裏側を題材とした映画『ウォルト・ディズニーの約束』を鑑賞して、見方が違っていたらしい、と気づいた。その時点で既にだいぶ飲み込めていたつもりでしたが、今回の再鑑賞で、改めて見方を切り替えてみたら、実にしっくり来た。本篇はメリー・ポピンズの不思議な力がメインでもなく、子供たちを救う話でもなく、子供たちの父親バンクス氏を救済する物語だった。その視点で鑑賞すると、実に筋道が通っている。
ただ、そうやって眺めた場合、絵の中に入るくだりや、煙突掃除人のダンスなどがちょっと尺を取り過ぎており、2時間越えの映画としてはだれすぎている、という欠点は却って強くなってしまう(だってこの一連のシーンはほとんどお父さんと絡まないから)のですが、初見のときよりも評価の高さは納得できました。
そして改めて、これは現代の技術と洗練されたシナリオ作法に則って、このスタイルを保ったままリメイクすべき作品なんじゃなかろうか、という気がしました。アニメーションと融合したシーンに、子供たちの場面やバンクス氏の描写を加えると、『〜約束』で描かれていたディズニーと原作者の理想により近づいた作品に生まれ変わる気がします。ただその場合、現代にジュリー・アンドリュースやディック・ヴァン・ダイクに代わる才能がいるのか、もポイントになりそうですけど。いまのタイミングならバンクス氏にはトム・ハンクスをあてがえばいいのだ。
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