作業もいよいよ大詰めです。月曜日までにすべて納品したいので、基本的に日曜日いっぱいまで他の予定を入れない――つもりだったんですが、作業後のスケジュールをあれこれ考えていたら、毎度ながら、観るつもりだった映画がひとつ、この金曜日で上映終了となるのに気づいてしまった。
上映は夕方からの1回のみ。そこで、昨日のうちに準備をしておいて、今日は朝から、上映館であるユナイテッド・シネマ豊洲に赴きました。先にチケットを確保すると、同じららぽーと豊洲の中にあるネットカフェに向かい、上映開始まで引きこもっておりました。
都合6時間、食事や仮眠も中で取ったのです――ブースは狭いですが、基本的にパソコン以外は何もない。据え付けのパソコンでは配信のバラエティ番組などをだらだらと流しておき、持ち込んだパソコンで作業を可能な限り進める。しばらく開かずに放っておいたノートパソコンをいきなり外で開くと、各種アップデートにリソースを奪われて、結局作業が出来ない、ということになりがちですが、その辺は昨日のうちに片付けてある。まわりに一切誘惑するものがないので、快調、とは言わないまでも、このくらいは進めたい、というところまではしっかり仕上げることが出来ました。
そんなわけで夕方からは映画鑑賞です。作品は、伝説の作家トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』を、『ザ・マスター』の鬼才ポール・トーマス・アンダーソンが映画化、1970年代アメリカの狂騒的な文化を探偵の視点から描いた『インヒアレント・ヴァイス』(Warner Bros.配給)。
序盤の、様々な出来事、事件が入り乱れるさまはミステリ愛好家として興奮を禁じ得ませんが、どんどん訳が解らなくなってくる。少なくとも謎解きめいたカタルシスはほとんどない、と言っていい。ただ、描写がとにかく挑発的なのです。70年代の文化を色濃く取り込んだエピソードの数々もそうですが、突然現れる“最後の晩餐”めいた構図にどんどん道を踏み外していくかに見える刑事の姿など、象徴を感じさせるモチーフがイメージを喚起せずにおかない。観終わってみると、全体を通して様々な解釈が出来そうです。同じ監督の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』にも通じる、予定調和を否定し価値観を揺さぶろうとするかのような構成にひたすらゾクゾクする作品でした。個人的にいちばん楽しみにしていたベニチオ・デル・トロの出番はあんまりありませんでしたが、短いながらも存在感はちゃんと発揮していて、その意味では満足。
鑑賞後、東急ハンズで少しだけ捜し物をしてから帰宅。この項目をアップしたら作業に戻ります。ここ数日、ずーっと作業に没頭していたら、そろそろ息が詰まってきていたので、いい気分転換になりました。
コメント