今週から来週にかけて、地味〜に予定がきついです。作業がメインなんですが、そこに映画鑑賞を入れようとすると、避けたい祝日や通院予定の日が入っていたりして、上映スケジュールとの調整が案外難しい。特に難物は今期の新・午前十時の映画祭の上映作品で、何せ3時間を超える尺ですから、迂闊な日に入れるとあとのスケジュールがぐちゃぐちゃになる。色々と考慮した結果、今日以外に最適な日が見つかりませんでした。そう気づいたところですぐさまネットでチケットを確保し、朝からTOHOシネマズ日本橋へ。
今期の作品は、第2回から採り上げられた日本映画最後の1本、水上勉の原作を、時代劇で知られていた内田叶夢監督が三國連太郎を主演に招き、独特の撮影スタイルで映画化したミステリー・ドラマ『飢餓海峡』(東映配給)。原作自体がミステリ者にとって押さえておくべきタイトルなのに未読だったので、鑑賞前に予習しておこうかしら、とラインナップ公表時点では考えてたんですが、そんな余裕はなかった。
さすがに3時間だとだらけてしまうタイプの作りで、途中ちょっと退屈したのは事実なんですが、ドラマとしての厚みは素晴らしい。犯罪者と偶然に関わった女性、そして警察側の視点とを織り交ぜながら、あえて一部の描写を伏せることで巧みに謎を形作って観客を牽引していく。そしてその先に、“貧困”というものがもたらす人間の妄念や、それ故の善意などを浮き彫りにしていく。すべてを率直に語っているとは思えない最後の対決のシーンから哀切な結末までのくだりは圧巻です。長い、という印象は拭えませんが、もはや撮れるひとのいないタイプの傑作であるのは間違いない。
というわけで残るはあと2本。もう来年度の開催も発表されているのですが、とりあえずは第2回上映作品のコンプリートを粛々と果たします。
コメント
[…] 原作:水上勉 / 監督:内田吐夢 / 脚本:鈴木尚之 / […]