病院に向かう途中で交通事故に遭った少女。運転していた母親は重傷で、少女は軽傷と思われたが、たまたまERを訪ねたハウス医師は、彼女が無痛症であることを看破、診察するよう部下たちに命じる。当初から脊髄の生検を提案するハウス医師を部下たちは訝るが、ウィルソン医師はその意図を見抜いていた。
前話同様、患者とその症状の設定が強烈なインパクト。無痛症の少女がそれを隠しながら活きる大変さを見せる一方で、それ故のハード極まりない診断の過程がこっちには痛い痛い。そのうえ、最後に判明する少女の奇怪な症状の正体がまた凄まじい。やっぱり医療に詳しい知識がなくても「そりゃ大変だ」と解る、無痛症という状態と無縁ではない、そのうえ視覚的なインパクトさえある! さりげなく、主要登場人物以外で、医療従事者としてどーなの、という行動に及んでいる描写があるのですが、正直気持ちは解る。その場にいたら1人ぐらいやっていても不思議ではないでしょう。見た目のインパクト、という意味ではシリーズ屈指かも。
と、患者側の趣向が強い回ながら、そこにシリーズ通しての描写も決して怠らないのが周到なところです。今回は、いつもカディ医師を避けるハウス医師がやたら彼女の元に出没する話が、終盤で別の人物のエピソード、ひいては前話の会話とも呼応して、思わぬ情感を生み出している。ハウス医師が飛び抜けているだけに意識から外れてしまいがちですが、実はほかの医師たちも非常に有能であり、それ故に苦悩を抱えている。トリッター捜査官を巡る騒動の中でハウス医師との関係がギクシャクしていたウィルソン医師の立ち位置が戻るのとは反対に生まれてきたこの僅かな変化が、ちょっと意味深です。
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