昨年8月にリリースされた『境界カメラ4』を鑑賞。ようやく現場復帰を承諾したナリモトDとともに、彼を失踪にまで追い込んだ怪奇現象の謎に肉迫していく寺内康太郎監督たちスタッフ。果たして“キリタニ”とは何者か、そしてシリーズの端緒である、捨てられたはずの素材を送ってきた“田中花子”は何者なのか――?
第4巻にしてようやく“ナリモトD失踪事件”完結。率直に言って――非常に面白かった。序盤から提示されている要素にしっかりと鏤められていた手懸かりが、少しずつ回収されていく驚きと快感、腑に落ちるけれどどこか理不尽さもあって、怪奇ドキュメンタリーとして申し分ない仕上がり。「怖い」と感じるよりは「面白い」と感じるひとのほうがたぶん多いでしょうけれど、きちんとホラーの体裁は整えてます。
興味深いのは、決して事件が呪いのビデオがもたらす単線のみで成立していたわけではなく、ナリモトDや疑惑のカメラマン・イガワ、それにこの巻で紐解かれるビデオの謎に絡むひとびと、それぞれの思惑や狙いがあったが故にここまでもつれていった、という点。一般的な怪奇ドキュメンタリーのように、複数の取材を1巻に詰めこんだような作りでは追求できない、多角的な手法を用いたこのシリーズならではの謎解きと怖さがありました。
決着が果たして受け入れられるか、ひとによって好みがだいぶ分かれそうですが、ここでの中心人物が語る理念は私が日頃考えていたことに近かったので、個人的には納得。
怪奇ドキュメンタリーは内容の真偽よりも、それが嘘でも許せるかどうか、を重視してます。そういう意味で本篇は間違いなく、嘘でも高く評価する内容。ぜんぶ仕込みだとしたら手が込みすぎてる。ここまで時間を費やして構築しただけでも天晴、と讃えてあげたい。
……まあ、それでも、ふた廻り3廻りも繰り返し観たいタイプの作品ではなかったので、いちど観て満足したらすぐに返却しちゃいましたが。見返すなら頭からでないと面白みがなさそうですし。
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