フォン・シーラッハ映画版。

 きょうも映画館詣りです。実のところ、母が『ストーリー・オブ・マイライフ』を観る、と言わなかったら、この前の土曜日はこっちを優先するつもりでした。
 足を運んだのは、久々のYEBISU GARDEN CINEMAです。前に来たのは、どうやらケイシー・アフレックがオスカーを獲得した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のときらしい。しかし、そこまで間が開いた気がしてないのは、ガーデンプレイス全体ならおよそ1年前に東京03の単独公演で来訪しているから……それでも1年前だし、COVID-19の件で今年の公演が流れてなければ、先月来るはずだったのだ。
 移動手段はバイクです。電車だと楽ではあるんですが、うちからだとまあまあ距離があって地味に電車賃がかかる。このあたりは観光スポットとしては珍しくバイク駐車場がけっこうあちこちにあって、ガーデンプレイス自体でさえよそに比べればかなり手頃な値段で駐めさせてもらえる。最近、体力がつくにつれてバイクに乗るのも楽になっていて、遠出したい気分が募っているので、こういうときに解消するのです。
 1年ぶりなので、ルートを間違えないかヒヤヒヤしつつ走ってましたが、前夜にストリートビューでおさらいしていたので、問題なく到着……あまりにスムーズすぎて、上映開始の30分も前に着いてしまった。
 YEBISU GARDEN CINEMAもよそと同様、前後左右1席ずつ空けた市松状の構成で営業してますが、他はそれほど変化なし。もちろんマスクや売店の仕切りの設置などはありますが、もうそのくらい、こちらは気になりません。
 鑑賞したのは、日本でもベストセラーとなったドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ初の長編小説の映画化、奇妙な殺人事件の法廷で、被疑者の弁護人を務めることになった新米弁護士の過酷な挑戦を追う法廷ミステリコリーニ事件』(KLOCKWORX配給)。私としては珍しく、原作の翻訳初刊本で購入してすぐに読んでいたため、これを外すことは出来ません――読んだのだいぶ前で、細部の記憶はほとんどなくなってましたけど。
 それでもほとんど法廷や、地味なやり取りで終始するイメージがあったので、映画的な起伏や見せ場がしっかりと盛り込まれたミステリになっていることに感心。細部は忘れても、本篇を支える大きな核は忘れてない(忘れられない)ので、その辺の驚きはないんですが、主人公や関係者の設定を巧みに調整し、劇的に、感動的に組み立てられていて、終盤の重量感が想像していた以上に凄い。クライマックスで初めて再現される犯行のひと幕と、すべてが決着したあと、最後のシーンが特に素晴らしい。原作の着想そのものが優れているので心配してませんでしたが、映画としても極上。今年のベスト候補だと思います。

 鑑賞後は、ガーデンプレイスから歩く歩道を駆使しつつ恵比寿駅を挟んで反対側まで移動、札幌ラーメン北の大地というお店で昼食。実はここ、もともと新宿駅の近くにあったお店で、このあいだ食べたくて立ち寄った際に初めて移転を知り、恵比寿に来る機会があったら絶対に訪れるつもりでした。地図で場所を調べて、ガーデンプレイスからやけに離れているのに気づきしばし悩んだんですが、まあいいさ、食べたいんだもの。
 調べてみたら、この店についてはレポートを上げたことはなかったので、あとで項を改めて紹介します。

コメント

  1. […] 原題:“Der Fall Collini” / 英題:“The Collini Case” / 原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ(創元推理文庫・刊) / 監督:マルコ・クロイツパイントナー / […]

  2. […]  16日の映画鑑賞の際に立ち寄ったお店について触れてみる。   […]

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