本日は母が友人と食事に行くので、夕飯はひとりです。そんなら映画は夕方からにして、出先で食べてくるか、と考えた。
……まではよかったが、作品が絞りきれない。第1候補に考えていた作品は夕方以降の上映時間が遅すぎて、母よりも遅く帰ることになる。まあ別にいいんですが、なんだか本末転倒感が否めない。もうちょっとしっくり来る時間帯で、惹かれる作品はあったかしら、とあれこれ探していたら――ありました。たぶん、新耳袋トークライブが無事に開催されてたら、ついでに観に行く候補にしていたであろう作品が。
日中に用事を済ませ、仮眠を取って、夕方からバイクにて赴いたのは、新宿シネマカリテ。鑑賞したのは、近年快進撃の続くスタジオA24の怪作、田舎町で起きた不可解な死を巡るドタバタをオフビートに描く『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』(PHANTOM FILM配給)。
ミステリっぽい粗筋にも関わらず、宣伝で“深堀厳禁”と謳ってるのがたいそう気になってた1本ですが……うん、確かに、深掘りは駄目だね。そりゃ駄目だよ。
正直、期待していたのとはだいぶ違ってて、拍子抜けした感は否めない。ただ、出てくるひとたちになまじ悪い奴がいないだけに、異様な遣る瀬なさが味わい深い作品です。特にメインのふたりは救いようのないバカなんだけど、悪党ではまったくなく、ない頭を絞って何とか糊塗しようとするけれど、どんどん事態は悪化していく。随所で展開するギリギリのやり取りや、色々な事実が解ったときの言いようのない雰囲気など、爆笑こそ誘わないけれど、妙に口許の緩むような瞬間があちこちに鏤められている。とことん馬鹿だけど憎めない男たちや、妙に癖のある警官たちなど、実在感はあるけれどスパイスの効いた登場人物たちのやり取りが情けなくも心地よい。ただただ戸惑い、最終的に怒るひともいそうな気はしますが、私はなんか好き。勧めるひとをだいぶ選ぶので、傑作とは呼びたくないけど。
……しかし、巨匠が最後の情熱を注いだ『海辺の映画館』のあとでこれを観るのは、さすがに振り幅大きすぎた。世の中色々だなー。
鑑賞後は久々につけ麺 五ノ神製作所へ。平日や土曜日の昼食時に行くと、常に列が出来ている店で、もし待ち時間が長いようなら別のところにしよう、と思ってたんですが、訪れてみると列はなく、店内も空席がある状態だったので、そのまんま入店。時間帯が違うせいか、とも思いましたが、しかしよくよく冷静に考えればいまはお盆、例年とは違うとはいえ休んでいる企業も多い。ましてまだまだ新型コロナウイルスの件が収束してないので、夜に来ればいつもこんな感じ、とは捉えない方がいいかも知れない。
今回は海老味噌つけ麺味玉入りを注文。麺を少なめにして、代わりにチーズをトッピングしてもらいました。美味しいんですが、何せ私には濃くてボリュームも過剰なので、少なめでちょうどいい。それでも積極的につけ汁に浸して食べてたら、最終的にあんまりつけ汁が残らなかった……普通盛りにしてたら無くなってたな。
想定していた並ぶ時間もなく、提供も早かったので、家に帰り着くのも早かった。母に告げておいた時間よりも30分以上早い、どころか母よりも先に家に着いてました。
コメント
[…] 原題:“The Death of Dick Long” / 監督:ダニエル・シャイナート / 脚本:ビリー・チュー / […]