本日の映画鑑賞は、レンタルしたブルーレイにて。1997年製作、アンドリュー・ニコル監督が初めて手懸けた作品で、遺伝子工学の発達した未来で、不適格の烙印を押された男が身分を偽り宇宙を目指すさまをスリリングに描き出したSFサスペンス『ガタカ』(Sony Pictures Entertainment配給&映像ソフト発売)。ずーっと前から、これは観ておくべきだろうな、と思いつつ、きっかけがなかったんですが、だいぶ前に突っ込んでおいた月額レンタルのリストでいつの間にか浮上してきて、遂に届いたので、この機に鑑賞。
うん、これは確かに面白い。遺伝子工学の発達により、法が禁じていても遺伝子レベルでの差別や階級社会が生じる、という着想、そしてそのチェックをかいくぐって他人になりすます、というスリル。しかし単純にディストピアを舞台としたサスペンスのみではなく、自らの経歴を他人に委ねる側の心情や、なにか曰くありげな女性との繊細なロマンス、更には思わぬところに仕掛けられた意外性が生むドラマなど、味わい深い描写が幾つも鏤められている。
これが長篇初監督であるアンドリュー・ニコルは恐らくそれほど潤沢な製作費を任されていなかった、と思われますが、しかし巧みにそれっぽい撮影場所を選び、小道具を鏤めることで、整然とした近未来を見事に映像化している。それで更に映像が美しいんだから、文句のつけようがない。
劇中で接近するイーサン・ホークとユマ・サーマンがその後結婚して更に別れてるとか、自分の経歴を譲り渡す男を演じたジュード・ロウがその後『リプリー』で強引に経歴を奪われる役をやってるのは本篇の影響なのか、とか作品と関係のないところで妙な感慨に耽ったりもしましたが、未だにしばしば名前を聞くのも納得の良作でした。
面倒なので、こういうのの特典映像は無理にぜんぶ観ようとはしません。しかし本篇鑑賞後、強制的に表示されたメニューに、珍しくNG映像が入っていたので、なんとなくチェックしたら――笑ってしまった。なんであんなことをした。本物じゃないからなんだろうけど。
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[…] 原題:“Gattaca” / 監督&脚本:アンドリュー・ニコル / 製作:ダニー・デヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア / […]