TACCS1179×酒林堂八雲 配信公演。

 毎年、晩夏から初秋あたりに、島根県松江市にて開催されていた《酒林堂八雲》。しかし、ご存じのとおりの成り行きで、こちらもすべて中止……というか、予定すら明示されないまま立ち消えになっていた。
 企画自体は実現に向けての動きが続いているようです。実際、いつの間にか、今年2月に少し遅れての開催が告知されていた……のですが、残念ながらこれも中止が決定してしまった。
 しかしその代わりに本日、俳協のイベントスペースであるTACCS1179が配信専用回線に対応した記念として、無料での配信公演が行われました。毎年恒例となっていたのに、昨年は一度も開催されず寂しかったので、きちんと待機してリアルタイムで鑑賞。
 配信ではありますが、基本的なエッセンスはきちんと網羅した内容でした。座長・茶風林氏による配信公演に至った経緯などの説明から、東京公演では名物となっている、会場・もっとい不動密蔵院の住職によるお話を挟んで、いつも通りの朗読劇へ。
 演目はいずれも小泉八雲原作の《がま》と《はかりごと》。どちらも過去の公演で採り上げた話の再演です。しかし、声優による朗読劇という体裁ゆえに、配役を変えることで味わいが少し変わるのもこの公演の面白いところ。また何より、実際の会場では、どこの席に着くかで印象も変わってきますが、配信ならとうぜんカメラは真正面、理想的なアングルで鑑賞出来る。しかも、配信設備も最近整えられたばかりなので、画質も音質もかなりいい。ちょうど夕食の時間と重なっていたため、移動可能なタブレットで鑑賞していたのですが、それでも立体的に聞こえる。その場で鑑賞しているのに近い感覚で楽しめます。
 上演後は、久々の舞台で感極まった茶風林の挨拶と登壇者の紹介、そしてこれも東京公演では恒例の、住職による般若心経。ちなみに、密蔵院での公演の際は太鼓の晩霜もあって、厳かにして迫力がある。実は私、これも東京公演での楽しみのひとつに数えていたりする。
 休憩を挟んで、実はこれこそ酒林堂の本題とも言うべき飲み会へ。実際のイベントでは本堂や広間でお酒とおつまみが提供され、出演者の話を肴にお酒を酌み交わすのですが、今回は会場の一画に設けたこたつに出演者が集まり、視聴者とのオンライン飲み会を催すかたち。状況が状況なので、アクリル板の仕切りに加え、出演者全員がフェイスシールドを装着しています。用意された島根名産のおつまみはともかく、出雲そばを食べるときはなかなかに邪魔そうでした。
 こちらも実際のイベントと同様、松江の観光案内や出演者の近況、更にはプレゼント大会を実施。このイベントならではのお楽しみを余すところなく配信で再現しようとした心意気が、常連のひとりとして嬉しい。

 未だ感染拡大が収まらず、先行きが不透明な情勢ですが、主催者側としては何としてでも9月の開催を目指して準備を進めているとのこと。実は、2月に開催される予定だった公演でも、参加者にはお酒とおつまみのセットを提供、それぞれ自宅や宿泊先に戻ったあとで、今回のようにオンラインでの飲み会を実施する、というかたちを検討していたとのこと。
 無事に開催されるなら、私は今年も参加する心づもりですが、今回のような体裁の配信公演でも、継続して実施してくれると嬉しい。もし可能ならば、前述した手法を敷衍して、生配信の前にお酒とおつまみのセットを通販で提供する、みたいなかたちで、視聴者も登壇者と同じ味を楽しめるようにしてみたらどうだろうか。

 なお、この配信公演はアーカイブが掲載されてます。実際のイベントの雰囲気も伝わりやすい作りになっているので、気になっていた方は是非ごらんあそばせ。

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