年に1度は殺人鬼の映画を観る。[レンタルDVD鑑賞日記その703]

 今日は映画館まで足を運ぶつもりでした。スケジュールもちゃんと調べ、午前中は雨模様ながら午後には上がる、という予報だったので、夕方から出かけるつもりでいたのです。
 ……が、午前中からお腹の調子が良くない。日課の『Fit Boxing 2』をこなしているあいだも、何度も中座していたくらい。お昼頃にはだいぶ落ち着いたものの、体力的にだいぶ消耗して、出かけるのが億劫になってしまった。
 そんなわけで予定を変更し、月額レンタルで届いていたDVDを鑑賞して、映画欲を満たしました。

 2012年製作、マイケル・シャノンが実在した連続殺人犯リチャード・ククリンスキーを演じた『THE ICEMAN 氷の処刑人』(Happinet映像ソフト発売)。……なぜ私は毎年、1本は殺人鬼の映画を観てるのでしょう?
 ただ、いわゆる衝動によるシリアル・キラーというよりも、依頼を受け、金銭目的で人を殺していたので、どちらかといえば『アイリッシュマン』に近い。あちらに比べると風格もなければポリシーもありませんが、しかしもともと持っていた破壊衝動を徹底して押し殺し、傍目には幸福な家庭を築いていた、という人物像には、職業的な殺し屋とも異なる狂気が滲む。確かに非常に冷徹だけれど、皮を一枚剥がすと猛然と凶暴性が噴き出すメリハリの強さを、マイケル・シャノンがその強面で巧みに演じきってます。
 興味深いのは、この主人公が、家族を思いやっていたことだけは事実として描いている点です。弟でさえ刑務所から出られなくなるような家庭環境にあって、そんな悲劇を繰り返さないように、必死に家族の前では良き父になろうとしていた。同情も同調もしたくはない人物像ですが、しかしものすごく興味深い。
 調べてみたところ、この人物は実在していたことは確かだし、いくつかの犯行で有罪判決を受けたのも間違いないようですが、その後のインタビューなどで語られた犯行がすべて事実とは考えられていないらしい。だからなのか、本篇も原作にふたつの文献が掲げられてますが、どうもそこからエピソードをだいぶ膨らましたりしているようです。それゆえに、なのでしょう、実話とするには無理な描写も散見されるのですが、人物像とそれを見事に体現したマイケル・シャノンは充分に見応えがありました。

コメント

  1. […] 原題:“The Iceman” / 原作:アンソニー・ブルーノ、ジェームズ・ティボート / 監督:アリエル・ヴロメン /  […]

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