東京は依然として緊急事態宣言にあります。12日の延長を境に、休業要請が一部緩和されましたが、映画館が除外されたことには未だ納得はいってない。しかし、公演を行う劇場類は動員に上限を設けての再開が認められたのは、私にとってもっけの幸いでした。お陰で、昨年は半年近く延期の憂き目に遭った東京03単独公演が、こうして無事――とは言いがたい状況ながら、なんとか開催に漕ぎ着けてくれた。
昨年は新国立劇場 中劇場での公演でしたが、今回は恵比寿ガーデンホールに戻りました……っていうか、そもそも昨年も当初の予定はここだったんです。新国立劇場は風格があっていいですが、個人的にはこっちの方がホーム感があって好き。
恵比寿には使いやすい駐車場があるので、移動はバイク……にしたかったけど、いくらチェックしても、天気予報は夕方以降大雨。帰りはカッパを着ればいい、しかし行きに降られてしまうと入場にだいぶ手間取る。素直に電車を使いました。
終わって帰宅するのが22時くらいになってしまうので、早めに現地入りし、らーめん北の大地で早めの夕食。早すぎて、家に着いた頃にはまた減ってるだろうことは予想に難くないけど、観ている途中で空腹を耐えてるよりまし。
食事を済ませ、会場である恵比寿ガーデンホールへ……ちょっと到着が早すぎたので、外でしばらく待機。
検温や、前回から導入したスマートチケットでのまごつきを考慮してか、予定より15分ばかり早めに開場。とりあえず、ファンアプリのチェックインをして、グッズを購入。前回は会場内での販売は一切なし、オンラインのみだったので、今回もそのつもりでパンフレットやサントラなどは注文してある。ここでは、昨日リリースされたばかりの前回公演のブルーレイだけ買いました。トートバッグとポストカードもつくので、なるべく会場で買うようにしてるのです……通販だと送料がバカにならんし。
買い物のあとは自分の席で待機。ちなみに今回は前方寄りの中央、という理想的なポジション。ファンアプリ優先販売はかなり確実にチケットが取れる代わりに、私の場合は何故か右側に追いやられがちだった。位置の都合で角田さんは背中しか見えん、という有様でしたか今回は違うぞ!
……それにしてもここの座席、番号を背もたれの後ろに書いてあるのはどうにかならないものか。いったん後ろから確認しないといけないではないか。背もたれの上部に書いておいて欲しい。
恵比寿ガーデンホールのエントランスに掲示された『第23回東京03単独公演「ヤな因果」』ポスター。
ああだこうだ言ってるあいだに開演です。毎度お馴染み、元マネージャー大竹涼太の作曲演奏によるオープニングを挟んで、3人板付きで始まる最初のネタは『決起会』。いきなりのっけから03十八番のビジネスマン、飲み会という鉄板のシチュエーション。仕事の上下関係で、確かにこういうことあるよね、という悩みを扱ったかと思うと、最後に意外な決着が待っている。確認しに行く飯塚さんのリアクションがナイスです。
最初の幕間は角田さん&オークラによるパロディ曲、ですが今回も、ニイルセン直描きのアニメーションが圧巻。このアニメがあってこそ面白い。しかし今回、曲自体の元ネタが解らなかったのがちと悔しい。
ふたつめのネタは『アイデアマン』。わりと有名ななぞなぞを援用して、複数の人間が居合わせる場所ならでは、のシチュエーションの面白さを、角田さんのお調子者キャラで転がしていく。途中、あからさまに乗せられて図に乗る角田さんの感じが実に味がある。
幕間は、本篇の展開を敷衍した懊悩を、スマホの画面を使って表現する実験的趣向。スワイプやSNS画面、写真データの扱いなど、スマホ内のモチーフを利用しまくる感情表現が笑えます。しかし本題よりも、画面下部のエリアにあるメールソフトの未読が4桁あることが気になりました。触れよそこ。
3つ目のネタは『セカンドプロポーズ』。これも恒例になりつつある《豊美》登場のネタですが、従来は恋人だったりその手前だったりした豊美さんが、角田さんと結婚して既に25年、という設定になってるのに感慨を覚えてしまう。常々、年齢相応のネタ作りをしていることに触れている彼らなので、そろそろそういう段階なのでしょう。ネタ自体は、よくある美談を03ならではの着眼でイジったもの。確かにありそうですが、どう考えても飯塚さんはとばっちりである。
幕間は、直前のネタを元にした歌もの。今回も客演を招いた、なかなか凝った作り。たぶん早送りまで使って、なかなか異様な絵になってます。
続くネタは『店頭販売』。これも入口はちょっとありそうなシチュエーションなんですが、途中の遊びまくったやりとりから、思わぬひねりが効いてます。テレビでもたまにかけてる『満を持して』もそうですが、03はこういう遊びが入ったネタを1本は加えないと気が済まないのかも知れない。
幕間は飯塚&豊本のやりとりをテキストのみ添えて展開する、これも東京03お得意の趣向。面白いけど、色んな意味で後味の悪い内容でした。色んな意味で。このあと家に帰ってカレーが待ってるお宅のことも考えろよ。
5つめのネタは『スイッチ』。これもテーマとしては誰しも心当たりのあるものですが、意外なのは角田さんのテンションの低い演技。むろんそのあとブチ切れる場面とのメリハリをつけるためのものですが、なんかやっぱり無理を感じずにいられない。しかし、それまで含めてネタになってる辺りが込み入ってます。最近、角田さんの役者としての露出が増えて、テンション空回り気味なキャラが定着してきたからこそ、余計に通用しやすくなってるネタだと思う。
次の幕間は、なんと飯塚さんによる落語……かと思いきや、もちろんそう単純ではない。飯塚さんの多彩な演技力が活かされるひと幕でした。あとこの場面での飯塚さんはなかなかレアだと思う。
6番目のネタは『心理テクニック』。これも毎回1本はある、飯塚さんが意図的にサボってるネタ。珍しく専門的な知識がぽんぽんと飛び出してきますが、それをしっかりネタにしてるのが面白い。飯塚さんが登場してのオチのくだりの「それは絶対にやっちゃダメ」感が最高でした。
最後の幕間は、これも恒例の物販宣伝ソング。直前の『心理テクニック』のネタばかりでなく、そのまえの映像ネタとも絡めて、ちゃんと芯を通すのが映像部分の担当オークラの手腕。曲としては手癖で作ってる感じでしたが、この場合はそれでいい。
大トリはこれもお定まり、オークラの脚本による長篇……なんだけど、いつもよりちょっとコンパクトに感じたのは気のせいかしら。近ごろまたブームが再燃しているキャンプを題材に、3人のキャラクターと人間関係の綾を巧みに利用した、安定感のある仕上がり。飯塚さんの名演説から、伏線が光るオチまで無駄がありません。ただし今回は感動要素はない。前回もそうだったけど、角田さんがとことんヒドい奴に見えます……『ヤな○○』のタイトルフォーマットを通すあいだはこのキャラで締めるつもりだろうか。
そして、ちょっと感傷的なエンディング曲で終幕。正直、エンドロールの曲はいまいち入ってこなかったので、サントラが届いたら改めて聴き直します。
というわけで、今回も非常に楽しみました。
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