怖い、ってこういうことだよ。[レンタルDVD鑑賞日記その735]

 昨年11月リリースの『呪われた心霊動画XXX NEO_07』を鑑賞。トンネル内に駐められた振動する車を興味本位で覗いたことで恐怖を味わう“赤い服のおじさん”、同好の士3人にてカメラを回しながら潜入した山中で遭遇した怪異“人形の家”、気づかずに撮影されていた勉強中の動画が投稿者の心を掻き乱す“口裂け女の時代”など、全6篇を収録。
 ……正直、ここのスタッフは最近の怪奇ドキュメンタリーを手懸けているなかでも圧倒的に上手いと思う。何度も記しているとおり、この手の作品がフェイクであることは基本解っているので、あとはどれだけ恐怖を感じさせてくれるか、異様なシチュエーションを楽しませてくれるか、が私の評価のポイントなのですが、まさにこのシリーズはフェイクでも許せるし、上出来と言わざるを得ない。
 怪奇映像ひとつひとつを切り出せば、所詮は合成に過ぎない。とはいえ、“人形の家”や“子供部屋”はその映像単品の仕上がりもかなり侮れませんけど、やはり特筆すべきは、取材の過程で炙り出される背後関係、そしてその後の展開です。2本目の“赤い服のおじさん”も出来はいいけれどまだ閑話休題のようなもので、秀逸なのはその前と、あとに置かれた4本の絶妙すぎる構成。ラストの、こうした怪奇ドキュメンタリーの掉尾には珍しい短めな映像のインパクトたるや。まともに信じ込むひとが観てしまったら、ショックでその日は冷静でいられないと思う。
 白石晃士や児玉和土が『ほん呪』で育み、拡散していった、数本の怪奇映像で恐怖を増幅する、という構成の、久々にお目にかかった理想型だと思う。
 エピソードごとに観ても、ありがちなファインディング・フッテージの体裁から現在進行形の災厄に舵を切る“3:33:33”、3つのカメラが同時に回っていることで恐怖がいや増す“人形の家”、こうした取材スタイルが必要な怪奇ドキュメンタリー受難の時代を逆手に取った趣向が秀逸な“口裂け女の時代”は、単品でもホラーとして優れている。
 なんか、久しぶりに観て満足になる出来映えでした。私はこういうのが大好き。最近は、1回通して観たらそれっきり再生しないことも多いんですが、これはもう1回じっくり楽しみたいと思ってしまった。ホントに気味悪いんだけど。

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