基本、食については保守的なたちですが、このブログでときどきネタにするべく、行ったことのない店や、レポートしていない店の情報を折に触れ調べている。
そんな私の心にずーっと引っかかっていたのは、初代けいすけ 本駒込本店。
同じ場所にはかつて、四代目けいすけというお店が入っていた。2018年に発見して以来、すっかり惚れ込み、月2回という私としては異例のペースで通い詰めたお店でしたが、当時の店主がグループを離れ別の店舗を営む、という都合により2019年2月をもって閉店。ほどなく同じ物件に、けいすけグループの創業当時の味を復活させた初代けいすけ 本駒込本店が入った。
如何せん、四代目に思い入れがありすぎて、リニューアル後はすっかり足が遠のいています。四代目の名物だった伊勢海老つけ麺が期間限定で復活、という情報を得たとき、店舗と、折からのコロナ禍で始まったテイクアウトサービスを利用して2度食べましたが、どちらも伊勢海老つけ麺。初代としての売りだった黒味噌ラーメンはいちども試していない。
足が遠のいていたのにはもうひとつ理由があります。
率直に言って、お店の雰囲気が良くない。
四代目の当時は極めて愛想が良く、気配りにも優れた店主とアルバイトがひとりの、最低でもふたり態勢で営業していましたが、初代に模様替えして以降、私が来店したときはいずれも店員たったひとり。それも態度が淡泊すぎて、どうも居心地が悪い。ちょうどコロナ禍初期のギスギスしていた頃だったこともあるのですが、あれほど世間が衛生状態に配慮していたというのに、パーティションがカウンターと厨房とのあいだにしかなく、マスクをせずに喋っている客に注意もしていない。あまり、そこで食べる気がしなかった。
とはいえ、ここは様々な実験的ブランドを展開していたけいすけのグループ初代の名を冠したお店です。いちどは看板メニューを食べてみるべきだろう、と思い、先日、何気なく情報を調べてみた。
【閉店情報】
— 【7月11日はラーメンの日】ラーメン評論家 山本剛志(らをた)【日本ラーメンファンクラブ】 (@rawota) January 15, 2022
東京都文京区「初代けいすけ 本駒込店」が、2022/1/10で閉店しました。 pic.twitter.com/KC9T7cgXXd
……2022年1月10日で閉店してた。
結局のところ、店舗の責任者が変わったあとの評判が良くなかったのでしょう。そもそもがノイズの入りやすいgoogleの口コミではありますが、味よりも店の雰囲気が悪いことは繰り返し指摘されていた。私自身も体験してますが、客の入りも悪かった印象がある。ラーメン店は味だけで楽しむ訳ではない。ワンオペで維持しなければならなかった事情もあったのかも知れませんが、この口コミの評価と、私自身も感じた有様では、そりゃあ保たなくなる。
四代目が閉店したあと、当時通っていた透析クリニックから近くにあった魁 六代目けいすけ 湯島店もまあまあお気に入りだったため、しばしば立ち寄っていましたが、こちらも昨年の6月に臨時休業の案内を出したあと、閉店した、という明確な案内もないまま、既にけいすけとも関係のない別の店舗が入ってしまっている。
なんだか、初代どころか、けいすけグループ自体が姿を消してしまいそうな予感がしてます。四代目の閉店後、お土産用として伊勢海老つけ麺を復刻していて、グループとしては四代目の味を残したい意向が窺えるので、当時実施していた麺の片面を焼くサービスも含めた復活を期待していたのですが、もはや絶望的なのか。それとも、ひとまず閉店の案内を出した初代けいすけのスペースに、四代目か六代目、或いはほかの系列を導入する意向なのか。仄かな期待と、概ねの諦めを抱きつつ、もうちょっと様子を見ようと思います。
……とりあえず、まだ銀座地区で営業中のはずの八代目・九代目を久々に訪ねてくるか……。
……という記事をアップするつもりで準備していて、しかし出来れば、ちゃんと自分で店頭の様子を撮影してきて掲載したかったため、しばらく保留にしておりました。
出かけるついでに撮影しよう、と思っても、いざ出かけたときには失念する、というのが続き、格別な用事もなかった今日になってようやく訪ねることが出来たのです、が。
……閉店の貼り紙が、ない。
見辛いですが、シャッター左側には営業時間を示す貼り紙がある。恐らく閉店のお知らせはこの上に貼ってあった、と思われるのですが、ざっと見たところその形跡がない。あと30分ほど粘ったら営業を始めそうな雰囲気でもある。
ただ、いずれにせよ、2022年1月28日現在、経営会社が出している、まん延防止措置に合わせた営業時間変更のお知らせには、初代けいすけ、六代目けいすけ共に店名が挙がっていない。このことからも、実際に営業はしていない、と判断せざるを得ません。
事情は色々とあるので、閉めるのは致し方ないにしても、案内はしっかりと出してくれないものだろうか。ここの公式サイトは初代の閉店も六代目のあった場所に別のお店が入った旨の告知がないばかりか、もう1年は前にサーヴィス終了した公式アプリの案内が未だに載りっぱなし、という有様。正直、グループとしてやっていけてるのか心配です。
2023/07/11 追記
この項、なんでか知りませんがず~っと途切れずアクセスがあるので、その後の情報をちょっと書き足しておきます。
何故か閉店の貼り紙が剥がされていたここの店舗、最初に記事をアップして間もなく、新店がオープンしていました。
《鯖と麺 いし川》というお店で、屋号こそ異なりますが、れっきとしたけいすけの系列店でした。ちゃんと親会社の公式サイトにも情報は掲載されていた。
竹炭入りの黒味噌、というユニークなメニューをメインにしていた初代けいすけに対し、こちらは店名通り、鯖から採った出汁をベースにしたラーメンを提供していました。ラーメンのみならず、普通に鯖の味噌煮とご飯、汁物に小鉢、というお馴染みのものを揃えた鯖定食も提供していて、ラーメン店としてはちょっと変わり種だったようです。
……なんで説明が伝聞なんだ、そして過去形なのだ、とお思いでしょう。お察しの通り、これをアップしている時点でとっくに閉店しています。むろん私は、1回も立ち寄る機会はなかった。
開店は、確認出来る情報によれば2022年5月21日、閉店したのは、すぐにデータが出てきませんが、記憶では2023年2月のことだったはず。
10年以上愛されていた店を閉めたあとに入った、系列店の原点の名前を冠したお店が3年も経たず閉店になったのも驚きなのに、それなりに吟味を重ねたであろう新しいブランドが1年足らずで撤退する、ってどういうことだろう。
けいすけは初代の閉店も、この鯖と麺 いし川の閉店も公式サイトで告知していない。《肉そば総本山神保町けいすけ》は閉店のお知らせをサイトに出していましたが、まがりなりにも“総本山”を冠したお店が撤退する、というのはなかなかです。この《~神保町けいすけ》、『ラーメン大好き小泉さん』にも登場してる店舗なんだぞ。
現在残っているお店も全体に雰囲気が悪く、近ごろはすっかり足が遠のいています。率直に言って、けいすけの系列店は全体的に心配です。色々と見直したほうがいいと思う。
で、いし川が撤退したあと、果たしてどうなるのか、と思ってアンテナを広げていたところ、2023年6月20日より、《らーめん味来 本駒込店》がオープンしたようです。
どうやらけいすけの系列は完全に撤退したようで、こちらは池袋の要町でオープンした同名店の系列にあたるらしい。上にリンクした食べログのページではまだ星の数が表示されてませんが、Googleマップの口コミ平均点は現時点で4.0、投稿が増えるにつれて下降していく可能性も低くないでしょうが、ざっとレビューを眺めた印象では、味も接客も一定の評価を得ている。
この界隈に足を運ばなくなって、たぶんもう2年近く。しかし、この様子なら、久々に訪ねてみてもいいような気がしています。
……まあ実は、この通り沿いには《中華 兆徳》という、私が四代目けいすけに通い詰めている頃からず~っと、お昼時には行列の出来る町中華の揺るぎない名店があって、先にそっちに行けよ、という気もしてるんですけどね。
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