いちばん頭がいいのは誰だ？［レンタルDVD鑑賞日記その747］

　昨年、レンタル先行でリリースされた映画、スティーヴン・ソダーバーグ監督、ドン・チードル＆ベニチオ・デル・トロ主演、1954年のデトロイトを舞台に、ある書類を巡って様々な思惑が交錯するサスペンス『クライム・ゲーム（2021）』(Warner Bros. Home Entertainment映像ソフト発売)を鑑賞。ちなみにアメリカではHBO MAXにて配信でリリースされてますが、昨年あたりから、権利元であるワーナーはそういう配信用作品とか、劇場公開しなかったものをレンタル先行でリリースする試みをしている模様。この作品は今月から日本でも配信が始まってますが、定額で観られるところは契約をしてないので、どのみち借りるしかなかったのだった。
　……正直、切れ切れに観ていたせいで全体像が掴めなかったので、返す前にもういっかい頭から観なくては。
　しかし相変わらずソダーバーグ監督らしい、凝ったカメラワークと知的な語り口に痺れます。奇妙な仕事が、やがて命を賭けた大金のやり取りへと発展していく。多くの登場人物がそれぞれの思惑で動き、なかなか全体像を掴ませない。終盤の混沌の挙句に訪れる結末は、洒脱だけど空虚。
　たぶん実話ではない、けど実際の出来事を背景にしているので、こんなことが本当にあったかも、と感じさせる説得力が見事。これもソダーバーグ監督らしく、名優を贅沢に配しているので、演技の味わいもある。
　しかし本篇のなにが驚くって、あるひとがノンクレジットで、そのくせ異様に印象に残る出方をしていること。あなたけっこうこういうやり口好きよね！