本日は映画鑑賞、ではありません。東京ビッグサイトにて開催された、Maker Faire Tokyoというイベントに行って来ました。
ざっくり言えば、ベンチャーや社内のサークル的な研究、或いは個人による開発の成果を展示するイベント。それなりに興味があってもあえて足を運ぶまでには至らなかった私が今回に限り訪れたのには、はっきりと目当てがあった。
イベントはチケット制で、土曜日の入場開始は12時。あれこれと考えた結果、だいぶ変則的なスケジュールを組んでみた。
まずバイクで豊洲へ。ららぽーと豊洲のバイク駐車場に入れて、お馴染みのど・みそへ……なんで先にここに来たのかと言えば、東京ビッグサイト界隈では昼食を摂る場所もタイミングも見つかりそうにない、と思ったから。
そして、バイクで出かけた場合、ビッグサイト付近の駐車場に駐められる可能性が低い。
いちおういくつか駐車場はあるようですが、無料のところはすぐに埋まる可能性が高い。かと言って有料の駐車場は、30分250円、とかけっこう強気な価格設定になっていて、ちょっと躊躇する。そもそも、有料であっても、埋まっていたら使えない。
その点、豊洲であれば、まあまあ枠があるので、午後にでもならない限りは空きがある、というのを経験上知っている。なので、駐車がてら、ビッグサイト界隈では心許ない食事も済ませよう、と考えたわけです。
ここからビッグサイトまでは徒歩……はさすがに時間がかかりすぎるので、ゆりかもめを使います。片道250円くらいかかるけど、それでも現地で2時間くらい使う、と想定すれば、ずっと安く上がる。ゆっくり鑑賞するなら、これがいちばん安上がりで確実なのです。
というわけで、豊洲にバイクを残し、東京ビッグサイトへ。このところコミケも来るタイミングがなくて、久しぶりの来訪です。
コミケほどではないけれど、まあまあの列に並んで場内へ。
様子はほとんどテクノロジー版コミケです。西ホールに複数の島が設けられていて、そこここに色々なガジェットが展示されている。正直、目を惹かれるものがむちゃくちゃ多かったのですが、とりあえず最大のお目当てを目指し、スポンサーサイトへ。
……この実物が見たかったのです。ICOMA Inc.の《タタメルバイク》。
もともとは、玩具メーカーのデザイナーだった代表が、「箱形になって持ち運べるバイクがあれば面白いのでは?」くらいの発想でデザインを描いたのが始まりだったらしい。あるとき、それをTwitterにアップしたところバズり、最終的に独立して本当の市販に向けて動き始めた。既にナンバーも取得した試作機が製作されていて。現在、市販に向けて動いている模様。私は今年の春頃、日曜朝の『シューイチ』という番組で眼にして以来、思いっきり惹かれて、生で確認したかったのです。
同様に関心を持っているひとが結構いるのか、既に詰めかけた方たちのなかには熱心に質問を重ねている方もいて、盗み聞きしているだけでだいぶ知りたかったことが把握出来ましたが、自分でも心配だった点が確認出来た。
私がこのバイクに関心を持ったのは、旅行先に持っていって、移動手段として使えるのではないか? と考えたから――このところ私が遠出するのは島根県松江市ばっかりですが、とにかくあちらは、松江を出ようとすると途端に交通手段が限られてくる。こういうものがあれば、楽になるのではないか、と思ったのです。
しかしそのうえでいちばんネックになるのは、“果たして飛行機で荷物として受け入れてくれるか?”という問題。
多くの飛行機では、サイズの大きな充電池は基本的に持ち込みが出来ません。リチウム電池は、JALだとリチウム含有量が2gを超えると途端に荷物としても機内持ち込みとしても受け入れてもらえなくなる。この《タタメルバイク》は出先でスマホの充電にも使える移動用電源としての用途も見込んでいるので、かなり確実に持ち込みは難しい。そのあたりの見込みを、どーしても訊いてみたかったのです。
既に他のメーカーや、バイク利用者の意見も反映し、色々とテストが実施されているため、そのあたりも既に考えられていたようで、返答はスムーズでした。もし飛行機に荷物として積み込むなら、通常収納する充電池を4つくらいの並列で接続するかたちに変更し、電池だけ4人で分ける、という方法が考えられる。ただし、当たり前ですが4人乗ってなきゃ出来ませんし、バイク自体は預け荷物にしなきゃいけない。しかも、安定性も考慮して重みはある程度留めた《タタメルバイク》はざっくりと40~50kgくらいあるので、荷物として預けると、何千円、下手をすると1万円以上の追加料金が発生する。
ただこのバイク、畳めばスーツケースぐらいのサイズになるので、普通に運送会社に発送を頼めるのです。実際に代表もやってみたらしく、これだと数千円で済むし、いちいちバッテリーを分割して取り外して、なんて考える必要もない。ある程度の梱包は必要ですが、黒内なら、前日に発送しておけば、充分に現地で利用できる。
……仮に旅行で利用するのが難しいとしても、ガジェットとして面白いし、近場で駐車場の見つけにくい場所でも運べる、という利点は大きいので、買う気は満々でした。しかし、この方法が使えるなら、もはや文句はない。他にも、折りたたみという機構のため、基板が雨の影響を受けやすいのも気になっていたのですが、独自に設計した基板に端子を集約しつつ、カバーを施すことで、土砂降りはさすがに厳しくても、小雨ぐらいなら耐えられる構造にしていたり、と既に対策も進んでいる模様。「必ず買います」と断言してきてしまった。
会社として成立させるために利益も出さなければいけない、とはいえ高くなっても手が出ないので、一般的な原付に近い40万円程度での販売を見込むと、少数ロットで50台が最低ラインらしい――個人的には、そのくらいならあっという間に売り切れるんじゃないかな、とさえ思う。いずれにせよ、私は何としてでも購入する。現状では来年春頃の販売を目標としているそうなので、もし松江怪喜宴が12月に開催されるなら間に合いませんが、それでも、次のときに備えて必ず。
何せこれが第一目的だったので、《タタメルバイク》だけ熱く語ってしまいましたが、他にも見たいものはあります。
絶対に見ておきたかったのは、魔改造倶楽部――既存のアイテムの性能のリミッターを外し、不必要な改造を施して、そのポテンシャルを競うNHKの名番組『魔改造の夜』で共演した複数のメーカーの開発者が、その後も交流を深めるために結成したチームです。ここに、“ロボット掃除機走り幅跳び”に出品されたものを中心に、実機が展示されていたのです。個人的にいちばん痺れた、H技研のお掃除ロボットが見たくて立ち寄りました。
ちょっとお話を伺うことも出来たのですが、本当に“飛ばす”という一点に特化するため、様々な工夫を凝らしている。内部の基板などは最小限に減らし、パーツもいちいち軽量化を図る。放送において“ロボット掃除機走り幅跳び”で優勝したH技研の《魔破★掃一郎》の場合、当初はいわゆるペットボトルロケットの仕組みを利用しようとしたところ、重量の都合でわずかしか水が充填できず、最終的に二酸化炭素を充填したジェットになった。それでも、バランス制御が難しく、撮影前日まで苦闘したんだとか。
他にもY精密の《とびまるくん》についてもちょこっと説明をお聞きしましたが、あちらにしても、パーツは精密でも基本的な構造はシンプル。発射を支えるためにバネを2本、更に内側にも入れて二重構造にしたり、最終的に飛ばすためにマグロ釣り用のテグスを電熱線で焼き切る、という、素人が聞いても解り易い方法を使っている。
こうしたプロ集団が、そんな細かな知識を総動員して改造を繰り広げるこの企画、やっぱり面白いです。
他にも、『モヤモヤさまぁ~ず2』にも登場した、小さすぎてまともに乗れないバイクが出展されているかと思うと、小さいけど公道もちゃんと走れる(ナンバーも取得してる!)バイクがあったり、普通にR2-D2が動き回っているかと思うと、組み立て中の変形ロボットがいたり、と見所はたくさん。ぜんぶ書いているとキリがないので、説明はこのあたりで止めておきます。写真だけいくつか並べておく。
公道どころか普通に乗って走るのも困難な最小バイク。ちなみに故障で試乗できず。
これも乗って走れるホッピングみたいなもの……けど無理でした(こっちは乗ってはみた)。
自転車のホイール部分にアニメーション表示できるLED……だけどシャッタースピードと回転数が合ってなくてちゃんと映ってない。
《タタメルバイク》とお目当ての3、4箇所を眺めたら帰ろうかな、ぐらいに思ってたのですが、正直、楽しすぎて延々巡っていられる。とはいえ、14時半を過ぎ、いつもは仮眠を取る時間を過ぎて、いい加減ボーっとしてきたので、後ろ髪引かれる心地で離脱。ふたたびゆりかもめにて豊洲に戻り、バイクに乗って帰宅しました。
イベントは明日まで。当日券も販売されているので、興味がおありの方は、公式サイトで諸々確認のうえ足をお運びください。何の目当てもなく訪ねると目移りして疲れるぞ。
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