峯田千里は父親の残した借金から逃れるため、ホームレスに身をやつして暮らしている。ある日、玩具会社を経営する大富豪・大蔵新造に見初められ、彼が死ぬまでの1ヶ月間、妻となることで借金を肩代わりしてもらった。しかし1ヶ月後、新造が死ぬと、契約に続きがあったことが判明する。新造の死から3ヶ月間、彼の6人の養子と共に別宅で暮らし、母として認められること。さもなければ、すぐに借金を返すべし。しかしこの6人の養子が、揃いも揃って曲者揃いで……
最近フジテレビが継続的に製作している、非現実的なシチュエーションに基づくコメディ・ドラマ。堀北真希主演の月9ドラマ『イノセント・ラヴ』が失敗に終わってしまったので、『花ざかりの君たちへ』の系譜を引き継ぐ路線で捲土重来を狙ったのでしょう。
製作者の意図がその通りなのかはさておき、これはなかなか面白い仕上がりでした。もとからあり得ない話だ、と作る側も解りきっていて、無茶苦茶な設定・展開を楽しんでいるのが窺え、観ていても爽快です。ホームレスやネットカフェ、引きこもりなど現代ならではのモチーフを盛り込んでいても、大前提が非現実的なのであまり悲愴感がない。ただ、どこか本質が抜けてしまって安易に片付けている感はあるので、そこが引っ掛かる人もあるでしょう。
しかしこれ、堀北真希主演のドラマの中では、今のところいちばん出来がいいと思います。『花ざかりの君たちへ』は周囲に個性的な男が多すぎたために、どうしてもお姫様になってしまうきらいがありましたが、今回は自発的に動いて存在感を示している。まわりのキャラクターが濃いだけに、それに負けていないのがファンとしては嬉しいところ。
僅かなあいだだけ夫だった新造が発明マニアだった、という設定もちゃんと利用しつつ、まだ登場していない長男をはじめ色々と謎を残して引っ張ってもいる。『花ざかりの君たちへ』の良さを受け継ぎながら、完全オリジナルであるからこそ自在にストーリーを膨らませようとしているのが窺えて、今後も楽しみです。
それにしても、草刈正雄はほんとーに味があっていい。設定故に今回だけで退場しそうなのが残念です……たぶん回想とかで出してくれるとは思いますけど。
コメント