瑠璃姫が死んだにも拘わらず、婿候補たちは“東大寺”目当ての組香――竹取の香で勝敗を決しようとする。行司として香を炊きあげる役を務めるのは薬売り、だが彼は意想外の奇手に出る。香のひとつに、毒性のある夾竹桃の枝を混ぜた、と言い出すのだ。しかし、それでも婿候補たちは勝負をやめない。
相変わらずこの粋ぶりはただごとではありません。薬売りの謎めいた行動が結実したとき、単色であった映像が一挙に色彩を取り戻していく。久々の強烈なスペクタクルの果てに、切れ味良く繰り出される顛末がまた痛快。華やかな映像に怪談的な意匠の扱いを絡めて、煌びやかながらもおぞましい、という類を見ない印象を齎します。いやあ、痺れるったらないぞ。
存分に楽しませてくれたこのシリーズも残すところあと3話、あとひとつのエピソードを残すのみ。タイトルこそ『化猫』と、端緒となった一篇と同じながら内容は別、とは聞いていましたが、EDに挿入された予告を見ると、何と明治か大正あたりに時代が移っているらしい。どんな趣向を繰り出してくれるのか、最後まで目が離せません。
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