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月額レンタルでは珍しく、2本まとめて着いてしまったので、めんどーだからまとめて語ります。今年7月・8月連続でリリースされた『ほんとにあった!呪いのビデオ77』と『ほんとにあった!呪いのビデオ78』です。『~77』は大雪の中で半ば立ち往生する車中で捉えられた怪異“ホワイトアウト”、とある公演のお祭りの光景に異様なモノが紛れ込む“フェスティバル”など8篇を収録、『~78』では幽霊の目撃談がある踏切で動画撮影を試みた男ふたりが目撃する恐怖“踏切”、家出して一時的に借りている部屋で異音を感じた投稿者が探り当てた怪異“排水溝”など8篇、またこの2巻ぶち抜きで語られる、大学生のサークルの余興で撮影された不気味な現象の謎を追ううちに予想外のドラマに踏み込んでしまう“ずっと一緒”を収録している。
今年の4月リリースの前巻、長年演出補として歴代の演出を支えてきた川居尚美が、昨年から続投する福田陽平とともに演出に就いたのですが、それによって長篇エピソードにちょっと情緒的な傾向が出てきたように思います。前巻でも薄々感じていたその傾向が、例年より短く2巻を利用して描かれる長篇“ずっと一緒”でより濃密になっている気がします。
ここで見せるスタッフの姿勢、それをあえて作品のなかで採り上げる考え方も含めて、私はけっこう高く評価するのですが、問題はそれが多くの人にとって面白く見えるかどうか、怖さを感じられるか、です。率直に言って、たぶん「面白くない」「怖くない」という人がほとんどだと思う。
このエピソードの勘所は、背景に“呪術”に似たものを嗅ぎ取りながらも、当事者が不安や危機を覚えていないのに、わざわざ踏み込む意味はあるのか? という、取材者としてのあり方を自らに問うているあたりなのです。ここをスタッフ同士で議論する姿を見せ、慎重に動こうとしているその態度は、作り手としてはけっこう好感が持てるのですが、如何せん、恐怖映像や怪奇現象に関心のある人にとってはまだるっこしいのも事実。背景に横たわる心情や、終盤にかけて当事者に訪れた変化のきっかけ、はたまた語られなかった当事者たちのその後などを想像すると、慄然とするとともに怖さも滲んでくるのですけれど、シンプルに楽しむのはちと難しいかも知れない。
投稿映像そのものに絞ってみても、今回はよくよく見ないと解らなかったり、パターン通りのものが多いので、たぶんそれほどディープに鑑賞しないひとには不評だろうな~。私はこの川居演出のライン、少し違ったテイストをシリーズにもたらしていきそうで、けっこう期待を持ってます。
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