『レストストップ デッドアヘッド』

レストストップ デッドアヘッド [Blu-ray]

原題:“Rest Stop” / 監督&脚本:ジョン・シャイバン / 製作:トニー・クランツ、ダニエル・マイリック、ショーン・パパツィアン / 製作総指揮:ジョン・シャイバン、ジェームズ・G・ハーシュ、ロバート・A・パパツィアン、R・J・ルイス / 撮影監督:マーク・ヴァーゴ,A.S.C. / プロダクション・デザイナー:フィリップ・ダゴート / 編集:リチャード・バイアード / キャスティング:ロビン・ナッシフ,,C.S.A.、パトリック・ベイカ,C.S.A. / 音楽:ベアー・マックレアリー / 出演:ジェイミー・アレクサンダージョーイ・メンディシーノ、ダイアン・ルイーズ・サリンジャー、マイケル・チルダース、カーティス・テイラー、ジョーイ・ローレンス、ニック・オレフィス、ディアンナ・ルッソ / 映像ソフト発売元:Warner Home Video

2006年アメリカ作品 / 上映時間:1時間25分 / 日本語字幕:?

日本劇場未公開

2007年8月24日映像ソフト日本盤発売/2010年04月21日最新盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon]

Blu-ray Discにて初見(2012/11/30)



[粗筋]

 ニコール(ジェイミー・アレクサンダー)は、恋人のジェシー(ジョーイ・メンディシーノ)とともに、テキサス州を飛びだした。目指すはロサンゼルス。しがらみを振りほどき、新しい生活を築くつもりだったニコールは、ジェシーの運転する乗用車の助手席で意気揚々としていた。

 だが、目的地を前にして、にわかに状況は暗転する。ロサンゼルスで生活の拠点にするはずだったジェシーの親戚から、間際になって断られてしまったのである。道中、黄色いトラックと衝突しそうになり、挙げ句の果てに道に迷い……はしゃいでいたはずが、気づけばニコールとジェシーのあいだに険悪なムードが漂っていた。

 尿意を催したニコールが、道端でするのはイヤだ、と主張し、やむなくジェシーは寂れた休憩所へと車をつける。朽ち果てたようなトイレの有様に辟易としながら用を足したニコールが駐車場代わりの空き地に赴くと、そこにジェシーの車は見当たらなかった。

 子供じみた悪戯だ、と思ったが、正確な位置も解らない休憩所から歩いていく度胸もない。不安と恐怖に苛まれながら、ニコールはジェシーの帰りを待つ。

 しかし、そこに現れたのは、先刻衝突しかかった黄色いトラックだった。ニコールを脅すような走りをしたあと、運転手は窓から何かを放り投げる。それは、血にまみれた、ジェシーの携帯電話だった……

[感想]

 観終わって、「なんじゃこりゃ」と思わないひとのほうが珍しいんじゃなかろうか、この話。

 一見したところオーソドックスな、アメリカの僻地を舞台としたスプラッタ・ホラーに過ぎない、という印象を受ける。だが、話が進むにつれ違和感を覚えるようになっていく。何かピントがずれているような感覚があるのだ。

 それでも次第にルールが見えてきたような気がして、なるほどそういう発想か、と頷くのだが、気づくとそのラインも踏み外しているように感じられて、最後にはそのまま終わってしまう。面白い、といえば面白いところもあるが、盛り込みすぎて整理し切れていないのではないか、と疑ってしまう。

 結論を言ってしまえば、本篇には続篇が存在する。説明不足の点はかなりそちらで補われているのだが、そのことを知らなければ意味不明すぎる決着である。映像特典として、使用されなかったシーンが別途収録されており、それを鑑賞することで多少は納得するが、だったらどうして本篇に組み込まない?! と却って釈然としなくなる。本国でも劇場公開なし、映像ソフトに直行しているが、それも当然だろう。

 しかし、個人的には、見所のある作品だと思う。出だしは定番のスプラッタ・ホラーのように見せかけ、次第に明らかになっていく本篇の“世界観”はちょっとした着眼である。この構造ゆえに、先読みが困難となり、絶えず振り回され続けるプロットにも味がある。惜しむらくは、そのアイディアは評価できても、終わってみるとさすがに支離滅裂すぎて納得できなくなることだが、過程の面白さは認めたい。

 また、途中のゴア描写の歯応えも悪くない。直接描写は少ないが痛みを実感させるもので、本篇の中で巧い具合に衝撃をもたらしている。まあ、物足りない、という向きもあるだろうが、そういうひとは自分が変なのだ、と自覚したほうがいい。直接的に凄惨な描写をすることはないが、しかし過程を想像させるシチュエーション、また当事者の苦痛、苦悩が痺れるほどに伝わる場面がきっちり組み込まれている。とりわけ、後半近くで登場する警察官を巡るくだりは出色だ。

 なまじ、はじめから続篇を想定して作ってしまったせいで、かなり歪な代物となってしまったが、アイディアや表現自体には光るものを感じる。果敢な試み自体を評価したい――だから、正直、ひとにはお薦めできないのだけど。

関連作品:

オブジェクティブ

マイティ・ソー

ロード・キラー

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