晩春の休日。ゆのと宮子は、吉野屋先生に教えてもらった神社にお出かけした。境内で別れてスケッチをしていると、ゆののそばに小さな女の子がすり寄ってきた。ゆのの絵に「すごい」と感激して、欲しいと言った彼女に、ゆのは快く千切って渡すのだった。待ち合わせの時間になって、「自分はおねだりされなかった」という宮子の言葉に、思わずゆのは天狗になってしまう……
ああ、素敵なまったり加減だ。どうもシリーズ構成上の要点を鏤める1話という意図が強いのか、いつも以上にエピソードがバラバラのまま投げ出されているのがちょっと引っ掛かりましたが、基本的にそれで責める気にならないくらい、人物の暖かさが伝わってくるのがこのシリーズのいいところです。
でもって、相変わらず実験的演出の豊富なこと。パステルカラーのくっきりした色遣いながら、髪の光沢や頬の紅潮をきっちり描きこんだり、色調を変えて時間の変化を表現したり、と実に細かい技が効いている。ゆのの動きを“て て て”という書き文字だけで表現するあたりなんかは個人的にツボでした――や、シャフトのスタイルからは想像がつくんだけどな。
次回はまた激しく跳躍して、次の春の話の模様。……夏はいつ来るんだろう。
そして今更ながらうめ先生の正体に気づいた私なのでありました。……あー、そこは本当にぜんぜん気に留めてなかった。
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