『３年Ｂ組金八先生第８期』第15回

　父親が施設に行くことを承諾し、どうやら問題がひとつ解決したお陰で大将が明るさを取り戻した。酒が抜けるまでの期間、大将の生活をどうサポートするかに頭を悩ませる金八先生だったが、そんな矢先、３Ｂに新たな問題が出来する。この１年、受験勉強とバレエを並行して励み、遂にシンデレラの役を勝ち取っていた順子が、友達とじゃれ合っているときに階段から転落、膝の靱帯を痛めてしまう。順子はその友達――親友のみゆきに悪意がないことは解っているのに、順子の親はいきり立ち、よりによってみゆきの家に損害賠償請求を出したのだ……

　……やー、ほんとにどんどんいい感じになっていくな。作中の出来事はあまりに切ないのですが、その決して無理矢理ではない、何処で起きていても不思議のなさそうな切実さがいい。実際こういう馬鹿な親はいま何処にでもいがちで、子供の気持ちをまったく考慮せず、更に大きな悲劇を招く。かといって実際に凄惨な事態に陥ることも決して多い訳ではないし、それにシリーズ全体を縛らせる訳にもいきませんから、この匙加減は絶妙。

　本当なら結構揉めていそうな終盤のやり取りを敢えてカットし、代わりに金八先生十八番の説教に捻りを加えた授業で締めくくったのもいい。あの台詞はこういう前提があってこそ意味を為す、というのをきちんと提示していて、相変わらず実に堅実な出来でした。