今和泉家にとっては仇と等しい家老・調所広郷から直接聞いた「藩を守るのが私の役目」という言葉に、於一は心を揺さぶられる。農民の声を代弁するために今和泉家まで直談判に現れた西郷吉之助を庇う於一の姿に、自らの弱さを痛感した肝付尚五郎は、西郷らを訪ねて剣の指南を請うた。そして、女ながら毅然と自らの意見を口にした於一の姿は、調所にも微かな影響を及ぼしていた……
やっぱり今のところ原作にない描写、人間関係の水増しだけで話を続けている感じですが、どうしようもないほど無理をしている印象はないので、とりあえず素直に楽しめます。於一ことのちの篤姫の造型は、原作のような芯の通った女傑というより、今のところ『はいからさんが通る』のような真っ直ぐなお転婆娘、といった趣ですが、それもまた良し。
どことなく身近な語り口を保ちながら、ちゃんと薩摩内での動乱も少しずつ積み重ねているので、大河ならではの大きさも伝わってくる。そういう意味で膨らんでくるのは於一が将軍家に輿入れするための段取りが組まれ始めてからなんですが……問題は、いまの解釈でそのあとの状況をどう描くかです。話が進むごとに篤姫は女の園に閉じこめられていくわけですから、尚五郎とか吉之助とかどんどん交流が無くなっていくんですが。
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