『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』第11話 やす菜の瞳から消えたもの

 はずむととまりのキスを目撃してしまったやす菜。友達になれるかも知れない、と思っていたとまりの裏切りに激昂したやす菜は、だが気づけばとまりの姿はおろか、はずむの姿もはっきりと捉えられなくなったことに気づく――他の男の子たちと同じように。

 ……どうもえろげ業界のライター諸氏に好評らしい、とは聞いていましたが、今回の展開はもうもろにえろげのクライマックスです。まだ完結していない原作をどう処理するかにずっと関心を持ってましたがそうかそう来たか。思いっ切り泥沼フラグだな! っていうか、どう見てもバッドエンドルートやんか!

 未完の原作を独自に加工する手法としては間違いではない、のですが、独自路線が強まれば強まるほど、今度は全体の構成の甘さが露見してきたように思います。Bパートで宇宙仁が語った背景はもっと前、それこそやす菜の事情が描かれたぐらいに提示されるべきでしたし、もっと言えばこの仕掛けがあるならはじめから主役はやす菜であるべきでした。はずむの性転換という趣向も完全にそのためのガジェットに退化してしまっているのも、当初のテーマからすると評価していいものか微妙です――まあ尤も、この辺は最後まで見てから判断すべきでしょうが。

 シナリオ面において、現段階でいちばん引っかかっているのは、宇宙仁とジャン・プウの扱い。本来地球の出来事を超越した視点から眺めて、大真面目にコメディを構築するのが彼の役割だったはずが、ここに来て突如シリアスで独善的な側面を見せてしまったことで、それまでのキャラクター性に冷水を浴びせる格好となっている。繰り返しますが、こういう展開にするならば、もっと早い段階から彼が何のどういう面に興味を抱いていたかきちんと描くべきでした。ジャン・プウに至っては、はっきり言って居ても居なくてもどうでもいい、というレベルにまで堕している。

 しかし、いちばんの問題は、シナリオがここまで盛りあがってきているのに作画レベルがまた降下していることだったり。しかも一番重要なやす菜ととまりの対話の場面で崩れ気味だったのが引っかかります。

 ……あれ? そんなに悪い手応えじゃなかったのに、いざ感想を書いてみたらけっこう辛くなってしまった。なかなか頑張っている、と感じているからこそ余計に目のつく点が多かったからだと思われます。まあ何にせよ、アニメ版としてひとまずの決着をつける次週最終回をけっこう本気で期待しましょう。追い込まれたはずむはどう結論を出すか、そしてやす菜ととまりは自分の気持ちにどうケリをつけるか。

 そういえば、先日わたしが「出ないのかなー」と書いていたエンディング曲の別ヴァージョン、ちゃんとリリースされるらしいです。来月5日。……早いなっ。今回使用された田村ゆかりヴァージョンも好感触だったので、これはたぶん本当に買います。

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