シリーズ最終幕、特定の原作を設定せずに描く“化猫”譚。家運のかかった輿入れのその当日、坂井家のひとり娘・真央が奇妙な状況で殺害された。家人はたまたま訪れていた薬売りの男に嫌疑をかけるが、この男、実はただ者ではなかった――
初めてオープニングでちょっと痺れました。そして本編に入っても、和紙の上に描いた大和絵のようなヴィジュアルが実に斬新で、現代風の絵柄とやや古めかしい絵柄とを織り交ぜたキャラクターデザインも、双方の違和感を打ち消して物語に馴染ませていて見事。
内容的には怪談、というより怪奇映画の体。薬売りの男の妖しげな言動に啖呵、異様な出来事の背後でキャラクターそのものはけっこう妙な行動を取っていたり、ユーモラスな描き方をしているあたり、京極夏彦作品の趣があります。
もののけを切るためには、その場にいる者との縁を知ることが肝要。というわけで次週は背景を探る話運びとなるようで、ますます京極風味。あまりに個性的な画面作りとも相俟って、このシリーズにおける3つのエピソードでいちばん贔屓の作品になりそうな予感が早くもします。
コメント
昨夜は偶々見ていたのですが、「化猫」は映像が異様に良くないですか? 明るくポップだけど見るからに怪しげだし、構図とかアクションとか相当遊んでるような。
なんだー、こんなのやれるんじゃないの、今までの二編はなんだったの(特に天守)って感じですよ。それともあれは、作画スタッフとかそれぞれ全然違うんでしょうかね。
本当に、格段に良くなってますね。『天守物語』大詰めと比べると尚更に。実際、脚本・演出などの主要スタッフ以外もすべて作品ごとに入れ替わっているのかも。……でなければあそこまで趣が変えられるとはちと信じがたい。
基本的にアニメは記録のために録画しておいてもあんまり見返すことはないのですが(DVDを買ったものは観てますけど)、これはすぐにでももう一回観たくなりました。この質とテンションを大詰めまで維持してくれることを願うばかりです。