『時効警察』第7話 主婦が裸足になる理由をみんなで考えよう!

 今回は熊本役の岩松了脚本、第5話で気を吐いた塚本連平演出、ゲストはなんか久々に見たという気がしなくもない葉月里緒菜。平成に入って発生した新たな三億円事件が時効を迎えた直後、霧山修一朗のもとになんと犯人を名乗る女が接触を図ってきた。警察の手ぬるい捜査を告発する手記を執筆したいので遺留品を返して欲しい、という無茶な訴えをする彼女に、本物の犯人であるという確証が得られたら協力する、という約束で霧山は趣味による捜査を開始する……

 先週のぐだぐだぶりは何、と目を疑うくらいに演出・脚本ともに締まってます。無意味なモチーフもうまい具合に違和感を醸し出しつつ流れを阻害していないので気持ちよく楽しめる。とりわけ熊本課長の謎のまじないは素晴らしかった。岩松氏はあの見せ場を作りたいがために自分で脚本書いたんじゃないのか、と勘繰りたくなるくらいに。

 前回、世間の反応があまりに非現実的であることをマイナス材料に掲げましたが、実はそういう意味では今回も変なところは多々ある。しかし、それを補うくらいに流れが整っているし、変な要素が巧妙に反応の奇妙さを正当化しているので、気にならない。

 肝心の真相は推理のための根拠が不足しているため、ちょっと卑怯に感じられますが、それを補うほど工夫が丁寧になされているので、厭な印象はない。それどころか、解決編での霧山の台詞がシンプルに決まっているので、むしろ爽快ですらある。

 あまりに凝りすぎたせいで若干解りにくく、更に捻りをきかせた解決編にも違和感を覚える向きもありそうですが、わたしは買う。第5話同様、出色の一本でした。塚本連平けっこうやるなあ。

 ただひとつ――けっきょくなんで主婦が裸足になるのかの説明をちゃんとしていないのが気になりました。魅力的な謎なのにい。

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