本家『Shall we ダンス？』を観た。

　金曜ロードショーで放送されていたので。

　翻って、改めてハリウッド版『Shall we dance?』が如何にオリジナルに忠実に、敬意を払って作っていたのかがよく解りました。基本的な流れはほぼ同じ、省略するにしても付け足すにしても流れや雰囲気を破壊しないように心懸けているのです。主人公が家族にダンスのことを内緒にしていた理由付けが違うのはお国柄ですし、原作にはない息子の役割が中盤での起爆剤代わりになったのも、その理由の変化とハリウッドなりに説明を必要としたからだ、というのが解ります――それが自明すぎるのにやや引っかかりますが、このくらいは仕方なし。

　全般に淡々と、一個一個のレッスンや心理描写をかなり丁寧に描いているのを、細かに省略して尺を縮めているのも、これはハリウッド・スタイルに合わせる上の必然なので問題はない。オリジナルを観て、改めてハリウッド版の優秀さを認識した次第。日本人の感性にはやはりオリジナルのほうが合っていますが、ハリウッド版のスマートさとリチャード・ギアの男でも惚れ惚れするくらいの格好良さもまた一興。