12月11日、2021年8月リリースの『封印映像55 かみよもじ』を鑑賞。酒の勢いで男女の痴態を撮影しに森の中に赴いたふたりが恐怖に遭遇する《はんぶん》、子供の様子を撮影した古い動画に記録された怪異《イマジナリーフレンド》、なんとなく占いに立ち寄ったあとで起きた惨劇《手相》、古墳の調査のため山の中に入った3人の女性が遭遇した恐怖《かみよもじ》の全4篇を収録。
……出てくる人がみんな大根すぎて話にならん……。
さすがにこれでは付き合いきれないので、フェイク、と断じたうえで語りますが、そもそもフェイクドキュメンタリーでリアリティを確保出来るか否かは、役者よりも演出の力量の方が大きい。巧く工夫すれば、不慣れな役者でもリアリティある表情を引き出すことも可能ですが、ただ安易に台詞をあてがっただけではたいてい見るも無惨な結果になる。本篇はまさにその典型です。
何がいけないって、肝心の怪異を記録した映像に登場するひとびとの行動にほとんど説得力がない、という点です。特に酷いのは《手相》と表題作でもある《かみよもじ》。
《手相》は登場人物全員の発言が明らかに“台詞”になっていて、普通の会話なら起きる、言葉を被せる、発言のあいだに反応がある、といった部分がほとんどない。いくら投稿者が空気を読まない人間でも、目の前で弟と恋人が喧嘩したなら、仲裁するなり助言するなりするでしょうし、何事もなかったかのようにラーメン屋に向かったりしない。まして終盤のあの状況で暢気にカメラを構えることはさすがにしないでしょう。作品の性質上、カメラが回ってなければ収録されることもあり得ない、とは言い条、カメラを回す必然性ぐらいはちゃんと見せて欲しい。映像のなかで奇行に至る人物とヤバさじゃどっこいどっこいだぞこの撮影者。
《かみよもじ》も物言いは台詞じみていますし、端々の行動も合理的と言い難い――素人だから、とさっ引いて見てもあまりに雑です。また取材部分での言及も、そこまで判明したならまだ語れることはあるんじゃないの? と訝しく感じる。タイトルにもなってる謎の記号、暗視モードでもけっこう鮮明に映ってますが、あれで断片すら読み取れないの??
別にフェイクならフェイクでもいいんですが、もうちょっと「現実なのかも?」と思わせるような説得力くらいは演出して欲しいです。じゃなければもっと振り切ってくれ、白石晃士監督の『コワすぎ!』くらいに。
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