旅行のあとで、羽田大勝軒初訪問。

 久々のラーメンレポートは、1月29日、なかなか過酷だった松江旅行の帰りのひと幕。

 羽田空港に着き、手荷物を引き上げた私は、既にへとへとで、すぐにでも家に帰って転がりたい心境でしたが、なにせちゃんとした昼食を摂っていない。飛行機のなかで低血糖を起こさないために軽く食べてはいますが、疲れた身体にはとうてい足りません。
 しかし実は、このタイミングで寄りたい店がひとつあった。第一ターミナル出発ロビーの一画に出店している、羽田大勝軒です――その名の通り、東池袋の名店、大勝軒に連なる店舗……のはずなんですが、実は情報が少なくていまいち確信が持てない。大勝軒の弟子筋は対立があって、いったいどの系列に属するのか、ぶっちゃけ部外者にはまったく解りません。ただまあ、東京の玄関口のひとつに出店しているのだから、素性は怪しくないはず。大勝軒それ自体にはあんまり接したことがありませんが、せっかくだし、ここで食べてみたかったのです。
 しかし羽田空港は広い。場所の把握が漠然としていると、なかなか辿り着けません。松江に向かう飛行機に乗る前、暇に飽かして捜し回り、いっかいは発見しているのですが、なにせ出発するところと到着するところが違うので、けっきょくまた迷うのでありました……ヘトヘトになって、ようやく到着。

羽田大勝軒の味噌もりそば、トッピングは煮玉子。

 いただいたのは、味噌もりそば……そんなつもりはなかったのに、“期間限定”の文字と、疲れゆえに身体が塩分を欲していたのか、自然と手が伸びてしまった。トッピングは、毎度ながらの煮玉子。
 ……正直に言えば、まず普通のもりそばを注文すべきだった、と後悔してます。
 確かに味噌ダレのもりそば、なんですが、普通に味噌ラーメンを麺とスープで分けただけ、という印象が強い。たぶん問題はスープとそこに投じられた具が、あまりにもオーソドックスな味噌ラーメンのまんまだからでしょう。チャーシュー、というより薄切りの豚肉にメンマ、そして多めのモヤシ。麺も、こうした味噌ラーメンでは標準的に用いられるモチモチの中太麺。あまりにも選択が一般的すぎて、個性がない。
 では味噌の味わいに個性や工夫を感じるのかというと、それもいまいち感じられない。こちらは美食家でも何でもなく、繊細な味の違いを感じ取れている自信などありませんが、それにしたって、あえてここまで来て食べたいメニューか? と聞かれたらそうでもない。酷な言い方をすると、スーパーで袋麺として売られている類のつけ麺でみそ味が出ていたら、たぶんこんな感じ。
 むろん、不味くはないのです。唯一、肉がちょっとパサパサすぎるのは気になりましたが、麺自体は小麦の風味ともっちりとした歯応えがいいので、つけ汁に浸す量を加減することで変化をつけつつ最後まで楽しめる。クセもなければ濃すぎもしない味噌の風味は、たぶん年齢を問わず食べられる。ある意味オーソドックスで安心感はある。ただ、率直に言って、わざわざ羽田空港の一画で出すような味なのかな、と首を傾げたくなる。
 たとえば海外に長期滞在していたひとが、日本に帰ってきて、とりあえず馴染みの味が欲しい、となれば、これを選ぶのはありだと思う。どこの味噌ラーメンに思い入れがあっても、それなりに満足感が得られると思います……が、振り返ってみて、また食べたい、と思うかどうか。
 なので、誘惑に耐えて、基本のもりそばあたりを注文すべきだった、という気持ちになってしまうのです。恐らく今後も、定期的にあるはずの松江訪問の際に羽田空港を利用するので、もし次に立ち寄るようなことがあれば、別のものを注文します……と、だいぶ厳しめに書いてますけど、前述のように、帰ってきた利用者にまず馴染みのある味を提供する、というコンセプトとしてはけっこう正解に近い味だ、と思うので、店名に対して変に強い期待をしてしまった私がいけないのかも知れません。

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