終わりの始まり。

 当初は今日、別の映画を観に行くつもりでした。封切り日なので、どこかで舞台挨拶があるだろう、と踏んで、それにスケジュールを合わせる気マンマンだったのですが……お目当ての作品の舞台挨拶は翌日土曜日。今週の土曜日は既に墓参りの予定を組んであるので、ずらすことが出来ません。仮にずらせたとしても、六本木に8時台・9時台の2回だけ、というのはちょっと厳しすぎる。
 では代わりに今日、他の劇場で観ようか、とも考えましたが、しかしそうするともうひとつの封切作品が気になってきてしまう。私にとっては間違いなく押さえておきたい1本ですし、出来れば上位スクリーンで観たい作品ですから、早く観るに越したことはない。火曜日あたり、決まってきたスケジュールとだいぶにらめっこして、けっきょくこのもうひとつの作品を選びました。

 大作ゆえ、あちこちで上映されていますが、先行作品などとの兼ね合いで、上位スクリーンでの上映時間にはだいぶクセがある。色々検討したあげく、けっきょくこの手の作品ではいちばんよく利用してきたTOHOシネマズ新宿へ。天気予報では帰宅の時間には既に降っているらしいので、電車にて移動します。
 ただ、金曜日としては出かけるのがちと遅かった。開映10分前に着いたから充分間に合うかと思いきや、売店の混雑が激しくて、なんとか開映ちょい過ぎに入場出来たのでした。列の作り方は考えて欲しいのよ。
 鑑賞したのは、映画史上最も成功したフランチャイズとなったシリーズ最新作、かつてドムに父親を殺された男が復讐のために“ファミリー”に牙を剥くワイルドスピード/ファイヤーブースト(字幕・IMAX with Laser)』(東宝東和配給)
 何が嬉しいって、今回の監督はルイ・レテリエなのです。ジェイソン・ステイサムがアクション俳優としての魅力を開花させたあの作品の監督が遂に《ワイルドスピード》フランチャイズ参加、というのは興奮せずにいられない。もともと監督予定だった、中興の祖ともいえるジャスティン・リンが外れてしまったのは残念、ただ脚本にはクレジットされてますし製作にも名前を残しているので、揉めたわけではない……はず。
 まず言っておくと、話は終わってません。だって、もともと10作目、11作目はシリーズ最終章として連作になることが予告されてましたから……本篇の試写で自信を持ったスタジオ側はもう1本延ばせないか、と提案してるそうですが、いずれにせよ本篇は終わりではないので、ほとんど片付いてません。
 しかし見せ場はこれでもか、とばかりに盛り沢山です。本篇のトリガーとなる第5作のシチュエーションを彷彿とさせるシークエンスに、久々のストリートレース。キャットファイトもありますし、クラシックカーも多彩に登場する。
 ただ、本篇で締めなくていいのをいいことに、何もかも無秩序に提示されてて収まりがいまいち良くない。そもそも、いくら最強の敵として描きたかったにしても、ジェイソン・モモア演じるダンテ・レイエスの先読み能力高過ぎです。そうはならんやろ、が多すぎる。
 ただ、そういうリアリティを無視してでも構築されたアクション・シークエンスのド派手さはやっぱり快感。名所史跡も容赦なくブチ壊すさまに頭の中で悲鳴を上げてしまいますが、このやりたい放題もシリーズの味です。今回は特に、本当の最終章に向けて“ファミリー”のみならず過去の因縁が再結集する前振りのような位置づけなので、懐かしいキャラの登場、それぞれにいちおうの見せ場を用意しつつ、きちんと豪快なアクションも盛り込むそつのなさこそが重要。消化不良ではあるが、個人的には、今回はこれでいいのだ、と思います。
 なお、最後のシーンを観た私の心の声は「やりやがったなこの野郎」でした。何でもいいから早く続篇作りなさい。

 上映終了が13時35分なので、あんまり離れた場所まで食事に行く余裕はない。ということで、この界隈ではいちばんよく訪れる、新宿東宝ビルの真裏にある焼きあご塩らー麺たかはし 歌舞伎町店に赴いて昼食。生憎の雨模様で、なおかつ昼食時からやや遅くなっていたこともあってか、先客はひとりでちょうど退店するところ、結果、途中まで私ひとりでした。

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