これは、本人に見せていいのか?[レンタルDVD鑑賞日記その829]

 8月5日に、2023年5月リリースの『呪いの黙示録 第八章』を鑑賞。AP真田の友人の家で発見された不可解な映像を巡る奇妙な経緯《古き良き映像》から、やはり幾つかの古い怪異映像を巡る連作《現下此処にいる~メッセイジ壱~》などを収録。
 たぶん、こういう怪奇映像を複数結び、ストーリーに仕立てていく手管は現在、このシリーズを手懸ける寺内康太郎がいちばん巧い。今回も、ひとつひとつは直接繋がらないし、現象としては些細な代物なんですが、それをAP真田の友人を巡る取材によって、一貫したメッセージとして見せてしまっている。
 毎度ながら微妙なスタッフ同士のやり取り、どうにも怪しく映る霊媒師に対する反応など、「そんなとこ見せる必要あった?」というシーンもいくつかありますが、初期ほどの鬱陶しさはなく、ちゃんと全体の構成として決して無意味ではなくなっている。会話がお食事の傍らなのはどうなのだ、とは思いますが、まあこのくらいならご愛敬、と捉えてもいい。
 とにかく今回は本筋が優秀。怖い、というよりも薄気味の悪い映像を巡る調査。のっけから腑に落ちない事態になりますが、連絡の取れなかった関係者のもとを探ると予想外の事実が浮かび上がる。ここでまるで思い出したみたいに怪奇現象が続発しますが、むしろ恐ろしいのはこの先なのです。
 本当にそんなことするのか、そしてどうしてここまで無責任な真似をしてしまったか。ここで面白いのは、途中でスタッフがいっかい信用しなくなった霊能者がシンプルに本質を貫いていることなのです。振り返ってみると、どこにいちばん危険なものが溜まっているのか解ってきてなおさらに怖くなる、そして異様な哀しささえ湧いてくる。
 いくら身内とは言え、長年連絡が取れてない相手の家、しかも現在どういう扱いになっているのか解らない場所に、さほど確認も取らずに踏み入って、それを映像作品に収録してしまうのは大丈夫? というのが微妙に引っかかりますし、怪異を真面目に捉えても、明らかに禁忌を犯してしまったあのひとは無事か、という心配もあったり、色々な感情に掻き乱されてしまいますが、それくらいに刺激的な1本。他の怪奇ドキュメンタリーと比べて発表のペースは遅いけれど、そのぶん質はやっぱり高いし、確実にレベルも上がってる。

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