史上、もっともシュールな“未知との遭遇”。

 今月は特に作業に奮起せねばならないのですが、観たい映画もやたらと封切られます。後悔をなるべく減らしておくためには、映画館詣でも頑張らねばなりません……頑張る、というのも変な話ですが。
 本日の行き先は日比谷のTOHOシネマズシャンテ。夜には月に一度の酒林堂チャンネルのアレがあるので、乾杯用に島根のお酒をシャンテ地下の日比谷しまね館で買うことも含めての選択です。
 当初の予報ではきょうも雨の可能性が示唆されていたのに、やや怪しい気配を孕みつつもなんとか保ちそうだったため、今回もバイクにて移動です……安めの駐車場がギリギリ1箇所空いてて良かった……。
 鑑賞したのは、映画界においてもはや唯一無二の存在感を示すウェス・アンダーソン監督最新作、5000年前に隕石の落ちた砂漠の小さな街で、とあるイベントのために集まった人びとが“未知との遭遇”を果たして起きる珍騒動を描いたアステロイド・シティ』(PARCO配給)
 ……という感じにざっくり説明してみても、ぜんぜん内容がフォローしきれてない。そもそもこの町、というか集落の物語は舞台劇であり、その舞台劇の構想や劇作家、演出家、俳優の奇妙な人間模様がモノクロで描かれる一方、その劇中劇での出来事を極彩色の、そして舞台ではあり得ない360度に展開する舞台で見せている。果たしてどちらが内でどちらが外なのか、混乱するようなお膳立てのうえで描かれるのはやけに意味深でシュール、そして妙に滑稽なやり取りが繰り広げられる。いつもながらのシンメトリーを軸としたやたら整った構図もさることながら、現実の光景とは思えない町の風景が、まさにこの監督でしか出せない味わいを醸してます。
 しかし今回、これまで以上にモチーフも構図も奇妙で解釈に困ります。前作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』はひとつの雑誌の記事、という体裁で、物語はバラバラでも全体の統一感やテーマ性みたいなものが感じられたのですが、今回は個々の描写が楽しくも繋がりが読み取りにくく意味不明。雰囲気は好きだし、解釈するのも楽しいのですが、正直なところ終盤は少々眠気を催しました。
 言動は謎でも妙に惹かれる登場人物が数多いるなか、私のツボに入ったのは“宇宙人”です。ヴィジョンも行動も、あんなの他で見たことありません。あのシーン、パソコンやスマホの壁紙に欲しいくらいだ。
 宣伝では“ウェス・アンダーソンの最高傑作”みたいな文句も並んでますが、私はそこまでとは思わない。ただ、作家性と唯一無二の魅力は研ぎ澄まされたと思う。何だろうね、この心地好さは。

 鑑賞後、まずは日比谷しまね館に立ち寄りお酒を買う……つもりでしたが、今日はなんとなくピンと来なかったので、島根産のサイダー、地味ダーのゆずを購入。昼食も、当初はその辺で食べるはずがなぁんとなく気乗りせず、つじ田に電話をしてテイクアウトを注文、寄り道して引き取り、自宅にていただきました……ちょっと疲れてるのかな。

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