信念なき主義主張の虚しさよ。

 2日ぶりに映画鑑賞です。やっと通常のルーティンに戻せそう。
 朝からバイクにて向かったのは、TOHOシネマズ新宿。かなり時間割がタイトなので、割高でも新宿東宝ビルの地下駐車場を使おうか、とも思いましたが、とにかくここはすぐに埋まる。埋まっていたとき仕切り直す時間も惜しいので、若干長めに歩くことは受け入れ、離れてるけど割安で利用できるいつもの駐車場を使うことに。
 鑑賞したのは午前十時の映画祭13上映作品、『ラストエンペラー』のベルナルド・ベルトルッチ監督日本初紹介作、第二次世界大戦前夜のイタリアで、過去のトラウマから当時台頭したファシズムに染まっていった青年の姿を描いた『暗殺の森』(パラマウント映画×CIC初公開時配給)
 ……もうちょっとで風邪が完全に治りそうだ、と思って前夜の就寝前に薬を服用していたのですが、これも正直、そんなコンディションで観ていい映画ではありませんでした。何度落ちかけたことか。
 問題は、解り易く状況を説明するような描写がなく、無数の断片をしばしば時系列も前後させて織り交ぜていく展開と構成にあります。会話が繋がらないので、どうしても関心が持続せず、眠気の付け入る隙が多い。そうして観客が意識的に読み解くように仕向ける作りは基本的には好きですし、じわじわと主人公マルチェロの抱えたものが浮かび上がる構造はむしろ好みではあるんですけど、だからこそ体調のいいときに観るべきでした。
 それにしても、ファシズムを題材にしながらも、本篇のマルチェロのような思考と顛末は現代にも当て嵌めうる。確固たる信念もなく時代に迎合してしまうから、どうしても芯は揺らぎ、やがて破綻してしまう。終盤の“見苦しい”とさえ言える振る舞いが痛々しく感じられるのは、時代が変わろうと常識が移ろおうとも、こうした苦悩はどこかに存在している、と伝わるからでしょう。
 細かなカット割りや構図、マルチェロを翻弄する人妻アンナの描写など、映画としての個性と味わいも豊か。なるほど、この映画祭に選ばれるわけだ……と納得はしたけれど、でもやっぱり、もっと体調のいい日に観るべきだった。

 鑑賞後は大久保公園に赴き、久しぶりの日本ラーメン大百科にて昼食……詳細は例によって後日。食事を済ませたら脇目もふらずに駐車場に戻り、バイクを出して家路に就いた。
 というわけで、出かけているあいだの気分は上々……だったんですが、帰りついてからまた少し調子を崩してます。完全回復まではあと少し、というところかも。

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